胃切除9年後に孤立性肺転移を切除した胃癌の1例
症例は72歳の男性で,9年前に胃癌に対し胃全摘術をうけ,病理組織学的検査では低分化腺癌pT2(SS)N1M0 Stage II(胃癌取扱い規約第13版)であった.フォローアップの胸部CTで左肺上葉に小結節を指摘され,3か月後のCTで増大傾向が認められた.左肺S3aに16×13×11 mmの充実性結節があり,肺門縦隔リンパ節に有意な腫大はなかった.胸腔鏡下左肺上葉部分切除を行ったところ,術中迅速組織診断で腺癌と診断された.原発性肺癌の可能性もあり左肺上葉切除とリンパ節郭清を行った.病理組織学的検査で9年前の胃癌の転移として矛盾しない所見であった.胃癌の肺転移は,癌性リンパ管症や癌性胸膜炎としてし...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 5; pp. 342 - 349 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.05.2018
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2017.0001 |
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Summary: | 症例は72歳の男性で,9年前に胃癌に対し胃全摘術をうけ,病理組織学的検査では低分化腺癌pT2(SS)N1M0 Stage II(胃癌取扱い規約第13版)であった.フォローアップの胸部CTで左肺上葉に小結節を指摘され,3か月後のCTで増大傾向が認められた.左肺S3aに16×13×11 mmの充実性結節があり,肺門縦隔リンパ節に有意な腫大はなかった.胸腔鏡下左肺上葉部分切除を行ったところ,術中迅速組織診断で腺癌と診断された.原発性肺癌の可能性もあり左肺上葉切除とリンパ節郭清を行った.病理組織学的検査で9年前の胃癌の転移として矛盾しない所見であった.胃癌の肺転移は,癌性リンパ管症や癌性胸膜炎としてしばしば見られるものの,孤立性転移は極めてまれで,胃切除後9年を経た転移は非常に珍しい再発形式である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2017.0001 |