歯科訪問診療の業務に関する歯科衛生士の意識調査
目的:朝日大学医科歯科医療センターでは,歯科訪問診療(訪問診療)が行われており,施設入居および在宅診療を受ける患者の多くは高齢者であり,特に要支援・要介護レベルの患者が中心である.本研究の目的は,同センターで訪問診療を経験した歯科衛生士を対象にアンケートを実施し,訪問診療における歯科衛生士の業務に対する意識や認識を調査し,その課題や業務の違いを明らかにすることである. 対象者と方法:調査対象は,同センターで訪問診療の経験がある歯科衛生士20名である.アンケート実施に際しては,研究目的,方法,および意義について口頭で説明し,同意を得た.アンケートはGoogleフォームを使用して実施し,設問は「訪...
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| Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 68; no. 3; pp. 140 - 147 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
30.06.2025
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
| DOI | 10.11471/shikahozon.68.140 |
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| Summary: | 目的:朝日大学医科歯科医療センターでは,歯科訪問診療(訪問診療)が行われており,施設入居および在宅診療を受ける患者の多くは高齢者であり,特に要支援・要介護レベルの患者が中心である.本研究の目的は,同センターで訪問診療を経験した歯科衛生士を対象にアンケートを実施し,訪問診療における歯科衛生士の業務に対する意識や認識を調査し,その課題や業務の違いを明らかにすることである. 対象者と方法:調査対象は,同センターで訪問診療の経験がある歯科衛生士20名である.アンケート実施に際しては,研究目的,方法,および意義について口頭で説明し,同意を得た.アンケートはGoogleフォームを使用して実施し,設問は「訪問診療と外来診療の違い」や「訪問診療における困難な点」などについての多肢選択式8項目および自由記述項目で構成されている. 成績:アンケートの回収率は100%であった.回答者の年齢層は20代および40代が多く,次いで30代および60代以上が続いた.歯科衛生士の就業年数は10年以上が最も多く,訪問診療の経験年数は5年未満が半数以上を占めていた.外来診療と訪問診療の業務の違いについては,患者の自立度や多職種連携,器具や設備の違いが指摘された.患者との関わりにおいては,生活環境や健康状態への配慮が特に大変であると感じるという回答が多くみられた.また,訪問診療中の業務については,体勢維持が難しく,無理な姿勢で口腔ケアを行っている実態が明らかとなった.体制面では,器具の準備や運搬,診療前後の事務作業,多職種間での情報共有など,診療以外の業務が負担であると感じているという回答があった. 結論:アンケートに回答した歯科衛生士の就業年数と実際の訪問診療経験年数に違いが認められた.また,多くの回答者が訪問診療の業務が外来診療と異なることを意識していることがわかった.訪問診療における患者や家族との関わり,歯科衛生士自身の業務,そして体制面における課題が明らかとなり,今後の改善点として重要な指摘が得られた. |
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| ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
| DOI: | 10.11471/shikahozon.68.140 |