Granulocyte colony-stimulating factorおよびparathyroid hormone related protein産生胃癌の1例

症例は72歳の女性で,白血球増多,胸部異常陰影にて紹介となった.諸検査で肺癌合併の進行胃癌と診断した.審査腹腔鏡にて肝表面に結節を認め,針生検で胃癌の肝転移と診断し化学療法を開始した.一時腫瘍は縮小するも,経過中白血球は46,500/μl,血清カルシウム値は15.7 mg/dlと高値を示し,胃原発巣,リンパ節転移とも著明に増大していた.血清granulocyte colony-stimulating factor(以下,G-CSFと略記),血清parathyroid hormone related protein(以下,PTHrPと略記)は上昇していた.噴門側切除,肝部分切除,膵尾部・脾臓切除...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 3; pp. 173 - 183
Main Authors 橋本, 恭一, 日並, 淳介, 久保田, 良浩, 仲井, 理, 竹内, 豪, 下松谷, 匠, 松山, 剛久, 青山, 諒平, 松木, 豪志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2021
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2020.0024

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Summary:症例は72歳の女性で,白血球増多,胸部異常陰影にて紹介となった.諸検査で肺癌合併の進行胃癌と診断した.審査腹腔鏡にて肝表面に結節を認め,針生検で胃癌の肝転移と診断し化学療法を開始した.一時腫瘍は縮小するも,経過中白血球は46,500/μl,血清カルシウム値は15.7 mg/dlと高値を示し,胃原発巣,リンパ節転移とも著明に増大していた.血清granulocyte colony-stimulating factor(以下,G-CSFと略記),血清parathyroid hormone related protein(以下,PTHrPと略記)は上昇していた.噴門側切除,肝部分切除,膵尾部・脾臓切除術を行った.免疫組織学染色で腫瘍細胞にG-CSF,PTHrPが陽性で,術後血清G-CSF,PTHrPは低下した.胃癌において両因子の産生腫瘍であることを証明した報告はなく,本症例が最初であると考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2020.0024