後腹膜腔に穿通した十二指腸憩室に対して逆行性十二指腸瘻留置を含めた複合的外科治療が有用であった1例

十二指腸憩室後腹膜腔穿通は消化液漏出による膿瘍形成,敗血症を来すことで致命的になる疾患である.今回,十二指腸瘻留置を含む複合的外科治療が有効であった十二指腸憩室後腹膜腔穿通の1例を経験したため報告する.症例は80歳の男性で,上腹部痛を主訴に当院を受診した.造影CTで下十二指腸角の壁が破綻し,後腹膜腔脂肪識濃度の上昇および後腹膜腔のガス像を認めた.十二指腸後腹膜腔穿通と診断し,緊急手術を施行した.Kocher授動術を行うと下十二指腸角の憩室および穿通部を同定した.憩室壁が脆弱であったため切除はせずに,肝円索を充填して縫合修復した.充填閉鎖部分への食物の通過を避けるために十二指腸球部を離断してBi...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 9; pp. 427 - 434
Main Authors 木内, 亮太, 坂口, 孝宣, 神藤, 修, 深澤, 貴子, 小坂, 隼人, 鈴木, 昌八, 松本, 圭五, 宇野, 彰晋, 川端, 俊貴, 杉原, 守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2024
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2023.0076

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Summary:十二指腸憩室後腹膜腔穿通は消化液漏出による膿瘍形成,敗血症を来すことで致命的になる疾患である.今回,十二指腸瘻留置を含む複合的外科治療が有効であった十二指腸憩室後腹膜腔穿通の1例を経験したため報告する.症例は80歳の男性で,上腹部痛を主訴に当院を受診した.造影CTで下十二指腸角の壁が破綻し,後腹膜腔脂肪識濃度の上昇および後腹膜腔のガス像を認めた.十二指腸後腹膜腔穿通と診断し,緊急手術を施行した.Kocher授動術を行うと下十二指腸角の憩室および穿通部を同定した.憩室壁が脆弱であったため切除はせずに,肝円索を充填して縫合修復した.充填閉鎖部分への食物の通過を避けるために十二指腸球部を離断してBillroth-II型で胃空腸吻合を施行した.十二指腸下行脚の減圧目的に輸入脚より逆行性に十二指腸瘻を留置した.術後合併症なく,術後19日目に退院した.十二指腸瘻は術後3か月目に外来で抜去した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2023.0076