IgG4およびEpstein-Barr virus陽性の脾sclerosing angiomatoid nodular transformationの1切除例

症例は32歳の女性で,下血の精査で施行した腹部単純CTで脾臓に38 mm大の腫瘤を認め,造影CT平衡相では内部はspoke-wheel patternを呈していた.Sclerosing angiomatoid nodular transformation(以下,SANTと略記)を疑ったが,他疾患も否定できず腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.病理学的には線維芽細胞様の紡錘形細胞の増生と多数の血管腫様結節からなり,紡錘形細胞は筋線維芽細胞で,3種の血管内皮を含む血管腫様結節が認められることからSANTの診断となった.また,IgG4陽性形質細胞の浸潤を認め,特に辺縁部では約15個/HPF,IgG4/Ig...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 5; pp. 357 - 364
Main Authors 鳥越, 俊彦, 矢野, 智之, 川瀬, 寛, 松井, あや, 岡本, 哲郎, 平野, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0106

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Summary:症例は32歳の女性で,下血の精査で施行した腹部単純CTで脾臓に38 mm大の腫瘤を認め,造影CT平衡相では内部はspoke-wheel patternを呈していた.Sclerosing angiomatoid nodular transformation(以下,SANTと略記)を疑ったが,他疾患も否定できず腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.病理学的には線維芽細胞様の紡錘形細胞の増生と多数の血管腫様結節からなり,紡錘形細胞は筋線維芽細胞で,3種の血管内皮を含む血管腫様結節が認められることからSANTの診断となった.また,IgG4陽性形質細胞の浸潤を認め,特に辺縁部では約15個/HPF,IgG4/IgG ratioは約40%に増加しIgG4-related sclerosing lesionと診断された.本症例は脾原発のSANTでIgG4関連疾患基準を満たす極めてまれな症例であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0106