病理組織学的検査で分類困難であった肝原発肉腫の1例

症例は55歳の女性で,腹部膨満感を主訴に受診し,精査で肝S8に15 mm大の結節を認めた.同病変は造影CT,MRIでリング状の濃染を示し,FDG-PETで強い集積を認めたが他の原発病変および遠隔転移は認めなかった.混合型肝癌の診断で手術の方針となり腹腔鏡下肝S8部分切除術を施行した.病理組織所見では核・細胞質比の高い小円形の異型細胞が充実性~集塊性に増殖しており,間葉系細胞マーカーvimentinが陽性のため肝原発肉腫と診断された.各種マーカーについて免疫染色検査を行った結果,既存の肉腫の分類のいずれにも当てはまらず分類は困難であった.術後経過は良好で,術後15か月の現在無再発生存中である.肝...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 6; pp. 315 - 322
Main Authors 梅村, 謙太郎, 後藤, 貴宗, 清水, 明, 窪田, 晃治, 小松, 大介, 富田, 英紀, 山崎, 史織, 副島, 雄二, 蒲池, 厚志, 玉田, 恒, 野竹, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2023
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2022.0035

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Summary:症例は55歳の女性で,腹部膨満感を主訴に受診し,精査で肝S8に15 mm大の結節を認めた.同病変は造影CT,MRIでリング状の濃染を示し,FDG-PETで強い集積を認めたが他の原発病変および遠隔転移は認めなかった.混合型肝癌の診断で手術の方針となり腹腔鏡下肝S8部分切除術を施行した.病理組織所見では核・細胞質比の高い小円形の異型細胞が充実性~集塊性に増殖しており,間葉系細胞マーカーvimentinが陽性のため肝原発肉腫と診断された.各種マーカーについて免疫染色検査を行った結果,既存の肉腫の分類のいずれにも当てはまらず分類は困難であった.術後経過は良好で,術後15か月の現在無再発生存中である.肝原発肉腫は非常にまれな疾患である.組織型は免疫染色検査所見によって分類されるが,今回,我々は既存の分類のいずれにも該当しない肝原発肉腫の1切除例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2022.0035