ハルトマン手術後の空置直腸に偽膜性大腸炎を発症しバンコマイシン注腸が有効であった1例

ハルトマン手術後の空置直腸に偽膜性大腸炎を発症したまれな1例を経験した.症例は73歳の男性で,直腸S状部癌による閉塞性イレウス・S状結腸穿孔性腹膜炎の診断でハルトマン手術を施行した.第8病日に強い背部痛・肛門痛が出現したため,腹部造影CTを行ったところ,空置直腸に著明な浮腫を認めた.空置直腸への内視鏡検査により偽膜性腸炎の診断を得た.バンコマイシン(vancomycin;以下,VCMと略記)の経口投与および空置直腸へのVCM注腸を開始し,速やかに軽快した.通常,偽膜性大腸炎の治療にはVCMの経口投与が有効であるが,本症例のように手術により直腸が盲端となっている場合には,VCM注腸が有用であると...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 9; pp. 545 - 550
Main Authors 石岡, 興平, 向川, 智英, 西和田, 敏, 石川, 博文, 高, 済峯, 吉川, 高宏, 渡辺, 明彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2014
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2013.0194

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Summary:ハルトマン手術後の空置直腸に偽膜性大腸炎を発症したまれな1例を経験した.症例は73歳の男性で,直腸S状部癌による閉塞性イレウス・S状結腸穿孔性腹膜炎の診断でハルトマン手術を施行した.第8病日に強い背部痛・肛門痛が出現したため,腹部造影CTを行ったところ,空置直腸に著明な浮腫を認めた.空置直腸への内視鏡検査により偽膜性腸炎の診断を得た.バンコマイシン(vancomycin;以下,VCMと略記)の経口投与および空置直腸へのVCM注腸を開始し,速やかに軽快した.通常,偽膜性大腸炎の治療にはVCMの経口投与が有効であるが,本症例のように手術により直腸が盲端となっている場合には,VCM注腸が有用であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2013.0194