脾原発炎症性偽腫瘍の1例

症例は65歳の女性で,背部痛を主訴に近医を受診し,精査加療目的で当院受診した.腹部造影CTでは脾臓に約40 mm大の早期相では造影されず後期相において緩徐に染影される腫瘍を認め,PET-CTでは腫瘍のみにFDGの高集積を認めた.血液検査所見では,CRPと可溶性インターロイキン2レセプターの上昇を認めた.画像上は良性腫瘍の可能性が高いと考えたが,悪性リンパ腫の可能性が否定できず診断的治療目的で開腹脾摘術を施行した.病理組織像は,炎症細胞浸潤と間葉系細胞の増殖を認め,免疫組織化学染色ではCD68とα-SMAが陽性,desmin,ALK-1が陰性であることから炎症性偽腫瘍(inflammatory...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 9; pp. 736 - 744
Main Authors 足立, 真一, 山田, 晃正, 津田, 雄二郎, 千原, 剛, 池永, 雅一, 山内, 周, 太田, 勝也, 上田, 正射, 中島, 慎介, 遠藤, 俊治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0176

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Summary:症例は65歳の女性で,背部痛を主訴に近医を受診し,精査加療目的で当院受診した.腹部造影CTでは脾臓に約40 mm大の早期相では造影されず後期相において緩徐に染影される腫瘍を認め,PET-CTでは腫瘍のみにFDGの高集積を認めた.血液検査所見では,CRPと可溶性インターロイキン2レセプターの上昇を認めた.画像上は良性腫瘍の可能性が高いと考えたが,悪性リンパ腫の可能性が否定できず診断的治療目的で開腹脾摘術を施行した.病理組織像は,炎症細胞浸潤と間葉系細胞の増殖を認め,免疫組織化学染色ではCD68とα-SMAが陽性,desmin,ALK-1が陰性であることから炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor;IPT)と診断した.画像形態的に良性腫瘍が疑われた場合でも,悪性リンパ腫や炎症性筋線維芽細胞性腫瘍などの良悪中間型腫瘍の鑑別が重要で,組織診を加味しての脾摘術も考慮すべきと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0176