腹会陰式直腸切断術の会陰創に予防的陰圧閉鎖療法を使用した直腸癌の1例
症例は85歳の女性で,臀部痛を主訴に受診した.左臀部に20×l0 cm程度の発赤硬結を認め,直腸診で直腸左側に腫瘤を触知した.腹部骨盤造影CTでは,下部直腸左側主体の壁肥厚と左肛門挙筋上腔から肛門挙筋下腔に及ぶ膿瘍形成を認め,左殿部の硬結を切開すると大量の排膿を認めた.下部直腸癌および肛門周囲膿瘍と診断した.左臀部切開創から連日洗浄を行い,殿部の発赤硬結と炎症反応は改善し,腹部骨盤造影CTで膿瘍の縮小を認めた.切開排膿後第28病日にロボット支援下腹会陰式直腸切除術を施行した.会陰部操作はジャックナイフ体位で,左肛門周囲の切開創と硬結を含めた切除ラインを設定し,尾側は尾骨切除,左は坐骨結節まで坐...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 8; pp. 410 - 418 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.08.2024
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2023.0042 |
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Summary: | 症例は85歳の女性で,臀部痛を主訴に受診した.左臀部に20×l0 cm程度の発赤硬結を認め,直腸診で直腸左側に腫瘤を触知した.腹部骨盤造影CTでは,下部直腸左側主体の壁肥厚と左肛門挙筋上腔から肛門挙筋下腔に及ぶ膿瘍形成を認め,左殿部の硬結を切開すると大量の排膿を認めた.下部直腸癌および肛門周囲膿瘍と診断した.左臀部切開創から連日洗浄を行い,殿部の発赤硬結と炎症反応は改善し,腹部骨盤造影CTで膿瘍の縮小を認めた.切開排膿後第28病日にロボット支援下腹会陰式直腸切除術を施行した.会陰部操作はジャックナイフ体位で,左肛門周囲の切開創と硬結を含めた切除ラインを設定し,尾側は尾骨切除,左は坐骨結節まで坐骨直腸窩脂肪を含めるように切除した.会陰創の感染再燃リスクは高いと考え,予防的陰圧閉鎖療法を施行した.第4病日まで陰圧閉鎖療法を継続し,術後創部感染なく経過し退院した. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2023.0042 |