通常型膵癌術後に発症した残膵癌の4切除例

通常型膵癌術後に発症した残膵癌の4切除例を報告する.膵癌取扱い規約第6版に基づく初回病変の組織学的深達度はT3が3例,T4が1例で,リンパ節転移は2例に認めた.病期はIIIが2例,IVaが2例であった.初回手術から残膵病変出現までの期間はそれぞれ2年,2年5か月,4年6か月,8年4か月であった.術式は,膵体尾部切除後の残膵全摘が2例,膵頭十二指腸切除後の残膵全摘と膵尾部切除(膵体部温存)がそれぞれ1例であった.1例は残膵に2病変を認めた.残膵病変の発生要因は,新規病変(異時性膵癌)と初回病変の再発(断端再発,残膵再発)の鑑別が重要と考えた.3例に遺伝子検査を行い,その変異形式から残膵再発と診断...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 2; pp. 122 - 130
Main Authors 夏目, 誠治, 安部, 哲也, 千田, 嘉毅, 岩田, 至紀, 伊藤, 誠二, 小森, 康司, 清水, 泰博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2016
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2015.0093

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Summary:通常型膵癌術後に発症した残膵癌の4切除例を報告する.膵癌取扱い規約第6版に基づく初回病変の組織学的深達度はT3が3例,T4が1例で,リンパ節転移は2例に認めた.病期はIIIが2例,IVaが2例であった.初回手術から残膵病変出現までの期間はそれぞれ2年,2年5か月,4年6か月,8年4か月であった.術式は,膵体尾部切除後の残膵全摘が2例,膵頭十二指腸切除後の残膵全摘と膵尾部切除(膵体部温存)がそれぞれ1例であった.1例は残膵に2病変を認めた.残膵病変の発生要因は,新規病変(異時性膵癌)と初回病変の再発(断端再発,残膵再発)の鑑別が重要と考えた.3例に遺伝子検査を行い,その変異形式から残膵再発と診断した.遺伝子検査が得られなかった1例は,残膵病変切除までの期間が8年4か月と長期間であり,組織型も異なっていたので異時性膵癌と診断した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2015.0093