X線コンピューター断層撮影法による人体下肢組織構成の観察

CT写真による身体組織構成に関する研究の一環として, 成人下肢の検索を行った.対象は成人24名 (男性10, 女性14) で, CT写真撮影部位は大腿部の近位1/3部と遠位1/3部と下腿上1/3部であり, それらの写真について, 総断面積と皮下脂肪, 筋, 結合組織および骨の断面積, さらに筋群別の断面積を計測した.それらの断面積並びに比率について, ローレル指数によって分けた3体型 (A, C, D) における特徴および性差を明らかにするとともに, 相互関係と年齢による変化を検討した, 結果は次の如くである.1.断面の組織構成比を見ると, 男性では各断面ともA体型では筋が大部を占め, 大腿部...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 47; no. 3; pp. 371 - 382
Main Authors 呉, 中立, 長谷川, 真紀子, 鈴木, 雅隆, 三丸, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1987
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.47.371

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Summary:CT写真による身体組織構成に関する研究の一環として, 成人下肢の検索を行った.対象は成人24名 (男性10, 女性14) で, CT写真撮影部位は大腿部の近位1/3部と遠位1/3部と下腿上1/3部であり, それらの写真について, 総断面積と皮下脂肪, 筋, 結合組織および骨の断面積, さらに筋群別の断面積を計測した.それらの断面積並びに比率について, ローレル指数によって分けた3体型 (A, C, D) における特徴および性差を明らかにするとともに, 相互関係と年齢による変化を検討した, 結果は次の如くである.1.断面の組織構成比を見ると, 男性では各断面ともA体型では筋が大部を占め, 大腿部では皮下脂肪がこれに次いだが, 結合組織および下腿の皮下脂肪は骨よりも低かった.C, D両体型の筋比は, 大腿部2断面は過半, 下腿断面は大部を占め, 以下は皮下脂肪, 結合組織, 骨の順であった.女性では近位断面ではA体型とC体型は皮下脂肪が50%近くで最も多く, 筋がこれに次いだが, D体型では筋の方が多くなった.また, 遠位断面では筋がほぼ50%, 下腿断面では過半を占め, 以下は各体型とも一般に皮下脂肪, 結合組織骨の願であった.2.各体型間の組織構成比を見ると, 男性では各断面とも一般にA, C, D体型の順に筋は減少, 皮下脂肪は増加の傾向を示したが, A体型とC体型の間でその差が大であった.女性では近位断面では僅かながらA, C, D体型の順に筋が増加, 皮下脂肪が減少する傾向が見られたが, 他の2断面では体型の間の差は認められなかった.3.構成比とローレル指数および年齢との関係を見ると, 大腿近遠両断面とも男性においては常に皮下脂肪比と結合組織比では正, 筋比では負の相関関係が見られた.4.筋断面積と年齢との関係を見ると, 近位断面では男性では伸筋群は50歳以下から, 内転筋群は50歳代から, 屈筋群は60歳前後から, また, 遠位断面では男性は伸筋群は50歳代から, 内転筋群は55歳以降, 屈筋群は60歳前後から, それぞれ断面積の減少が見られた.両断面とも女性では検査例の年代では差が見られなかった.しかし, 下腿の屈筋群は, 男性では加齢減少の傾向が著明で, 女性でも50歳代からの減少が明らかであった.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.47.371