BRAF V600E変異陽性進行再発大腸癌の治療成績から考える転移巣切除の至適適応

目的:BRAF V600E変異陽性進行再発大腸癌は薬物療法の効果が乏しく極めて予後不良で,転移巣が切除可能でも切除すべきか否かの判断が難しい.BRAF変異大腸癌の治療成績から切除可能転移巣の手術適応について後ろ向きに検討した.方法:2016年から2020年に治療を開始したBRAF変異大腸癌14例を対象とした.一次治療の初回画像効果判定で,腫瘍がベースラインより縮小または不変の症例をcontrolled disease(以下,CDと略記)群(n=8),増大した症例をuncontrolled disease(以下,UDと略記)群(n=6)に分類し比較検討した.結果:経過観察期間中央値は39.7か月...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 8; pp. 473 - 482
Main Authors 小倉, 淳司, 横山, 幸浩, 江畑, 智希, 神野, 孝徳, 伊神, 剛, 山口, 淳平, 村田, 悠記, 上原, 圭, 國料, 俊男, 水野, 隆史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2022
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2021.0129

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Summary:目的:BRAF V600E変異陽性進行再発大腸癌は薬物療法の効果が乏しく極めて予後不良で,転移巣が切除可能でも切除すべきか否かの判断が難しい.BRAF変異大腸癌の治療成績から切除可能転移巣の手術適応について後ろ向きに検討した.方法:2016年から2020年に治療を開始したBRAF変異大腸癌14例を対象とした.一次治療の初回画像効果判定で,腫瘍がベースラインより縮小または不変の症例をcontrolled disease(以下,CDと略記)群(n=8),増大した症例をuncontrolled disease(以下,UDと略記)群(n=6)に分類し比較検討した.結果:経過観察期間中央値は39.7か月であった.全体の2年全生存率は35.7%で,CD群およびUD群ではそれぞれ50.0%および16.7%であった(P=0.051).転移巣根治切除を6例(42.9%)に施行し,4例で再発を来したが,1例は再転移巣切除を施行した.CD群では転移巣切除を行った3例中2例が無担癌生存中であるが,UD群の3例は全例で術後再発を来し,2例が術後3か月以内の早期再発であった.結語:BRAF変異大腸癌の予後予測因子として一次治療での初回病勢コントロール評価が有用である可能性が示唆された.たとえ切除可能であっても,一次治療での病勢コントロール不良例に対する転移巣切除の適応は慎重に考慮すべきである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2021.0129