著明な赤血球増多症を合併したエリスロポエチン産生巨大肝細胞癌の1切除例
症例は60歳の男性で,左半身の痺れを主訴に当院受診し,精査で右視床出血,肝S1原発巨大肝細胞癌,赤血球増多症,高エリスロポエチン血症と診断した.視床出血に対する保存的治療後,肝spiegel部切除および腫瘍摘出術を施行した.術後は赤血球増多症,高エリスロポエチン血症の改善を認め,免疫組織学的に肝細胞癌細胞質にエリスロポエチンの産生が証明され,エリスロポエチン産生肝細胞癌に続発した赤血球増多症と診断した.肝細胞癌は赤血球増多症をはじめとする腫瘍随伴症候群を生じることがあるが,赤血球増多症を合併した報告は本邦で23例とまれである.そのうち,原因を免疫組織学的に証明できた報告は8例あるが2001年以...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 18 - 25 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.01.2014
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2013.0069 |
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Summary: | 症例は60歳の男性で,左半身の痺れを主訴に当院受診し,精査で右視床出血,肝S1原発巨大肝細胞癌,赤血球増多症,高エリスロポエチン血症と診断した.視床出血に対する保存的治療後,肝spiegel部切除および腫瘍摘出術を施行した.術後は赤血球増多症,高エリスロポエチン血症の改善を認め,免疫組織学的に肝細胞癌細胞質にエリスロポエチンの産生が証明され,エリスロポエチン産生肝細胞癌に続発した赤血球増多症と診断した.肝細胞癌は赤血球増多症をはじめとする腫瘍随伴症候群を生じることがあるが,赤血球増多症を合併した報告は本邦で23例とまれである.そのうち,原因を免疫組織学的に証明できた報告は8例あるが2001年以後は自験例のみであった.近年,エリスロポエチン/エリスロポエチンレセプターの腫瘍進展への関与も報告されており,エリスロポエチンの産生が証明された肝細胞癌の1切除例について,文献的考察を含め報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2013.0069 |