食道癌術後の自然気胸に続発した緊張性気腹症の1例

症例は76歳の男性で,3年前に胸部下部食道癌に対して胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した.腸瘻抜去部の閉鎖不良のため入院し内視鏡下にクリップによる瘻孔閉鎖術を施行した.4日後,腹部膨満・呼吸苦が出現し,座位を契機に呼吸促迫および頻脈を認めた.CTで腹腔内に大量の遊離ガス像,および少量の両側気胸を認め,右胸腔ドレーンおよび腹腔ドレーンを留置し排気を行った.胃透視では明らかな造影剤の漏出は認めなかった.腹部膨満が持続したが,左胸腔ドレーンを留置することで改善した.食道癌術後で胸腔と腹腔が交通したために気腹症が気胸に続発したと考えられた.食道癌術後の自然気胸により緊張性気腹症を呈した1例を経験した.食道癌...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 高橋, 信也, 杉山, 陽一, 佐々木, 秀, 田崎, 達也, 香山, 茂平, 上村, 健一郎, 海氣, 勇気, 中光, 篤志, 平野, 利典, 新宅谷, 隆太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2021
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2019.0141

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Summary:症例は76歳の男性で,3年前に胸部下部食道癌に対して胸腔鏡下食道亜全摘術を施行した.腸瘻抜去部の閉鎖不良のため入院し内視鏡下にクリップによる瘻孔閉鎖術を施行した.4日後,腹部膨満・呼吸苦が出現し,座位を契機に呼吸促迫および頻脈を認めた.CTで腹腔内に大量の遊離ガス像,および少量の両側気胸を認め,右胸腔ドレーンおよび腹腔ドレーンを留置し排気を行った.胃透視では明らかな造影剤の漏出は認めなかった.腹部膨満が持続したが,左胸腔ドレーンを留置することで改善した.食道癌術後で胸腔と腹腔が交通したために気腹症が気胸に続発したと考えられた.食道癌術後の自然気胸により緊張性気腹症を呈した1例を経験した.食道癌術後では胸腔・腹腔が交通している可能性を念頭に置いて診療にあたる必要があると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2019.0141