妊娠合併潰瘍性大腸炎に対し腹腔鏡手術を施行した1例
症例は25歳の女性で,腹痛,下痢で近医を受診し,潰瘍性大腸炎と診断された.プレドニゾロン投与により炎症は寛解したが,4か月後に再燃した.同時期に妊娠が判明したため当院紹介となった.全大腸型・Matts grade 4であり,インフリキシマブ・顆粒球除去療法で効果が得られなかったため,手術適応と判断した.妊娠14週で母児の安全保持のため,3期分割手術を計画し,腹腔鏡下結腸亜全摘・回腸ストマ造設・S状結腸盲端腹壁固定を施行した.その後,妊娠41週・2,665 gで正常分娩を経て,出産後3か月で腹腔鏡下残存大腸全摘・回腸囊-肛門吻合・回腸ストマ再造設を施行,さらに半年後に回腸ストマを閉鎖した.今回,...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 8; pp. 529 - 535 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.08.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2021.0130 |
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Summary: | 症例は25歳の女性で,腹痛,下痢で近医を受診し,潰瘍性大腸炎と診断された.プレドニゾロン投与により炎症は寛解したが,4か月後に再燃した.同時期に妊娠が判明したため当院紹介となった.全大腸型・Matts grade 4であり,インフリキシマブ・顆粒球除去療法で効果が得られなかったため,手術適応と判断した.妊娠14週で母児の安全保持のため,3期分割手術を計画し,腹腔鏡下結腸亜全摘・回腸ストマ造設・S状結腸盲端腹壁固定を施行した.その後,妊娠41週・2,665 gで正常分娩を経て,出産後3か月で腹腔鏡下残存大腸全摘・回腸囊-肛門吻合・回腸ストマ再造設を施行,さらに半年後に回腸ストマを閉鎖した.今回,麻酔科と相談して腹腔鏡手術を選択し,安全な妊娠の継続のため手技を工夫した症例であり報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2021.0130 |