MSH6遺伝子の生殖細胞系列変異が認められたLynch症候群大腸癌の1例
ミスマッチ修復遺伝子の一つであるMSH6の変異を原因とするリンチ症候群大腸癌を経験したので報告する.症例は25歳の女性で,便潜血陽性と貧血を主訴とし受診した.家族歴では,父方の祖父が大腸癌,祖母が膵臓癌,母方の祖母が子宮内膜癌に罹患していた.2型横行結腸癌に対し,結腸部分切除(D3)を施行した.病理組織学的検索では,T3N0M0 stage IIの低分化腺癌で,術後6か月間,UFT/LVによる補助化学療法を行った.改訂ベセスダガイドラインの3項目を満たすことから,リンチ症候群のスクリーニングとしてマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability;MSI)検査を行...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 7; pp. 618 - 627 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2015
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2014.0181 |
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Summary: | ミスマッチ修復遺伝子の一つであるMSH6の変異を原因とするリンチ症候群大腸癌を経験したので報告する.症例は25歳の女性で,便潜血陽性と貧血を主訴とし受診した.家族歴では,父方の祖父が大腸癌,祖母が膵臓癌,母方の祖母が子宮内膜癌に罹患していた.2型横行結腸癌に対し,結腸部分切除(D3)を施行した.病理組織学的検索では,T3N0M0 stage IIの低分化腺癌で,術後6か月間,UFT/LVによる補助化学療法を行った.改訂ベセスダガイドラインの3項目を満たすことから,リンチ症候群のスクリーニングとしてマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability;MSI)検査を行ったところ,高頻度マイクロサテライト不安定(microsatellite instability high;MSI-H)であった.ミスマッチ修復タンパクに対する免疫染色検査では,大腸癌細胞の核でMSH6タンパクのみが欠失していた.遺伝学的検査では,MSH6のexon 5,codon 1087にフレームシフト変異が認められた.術後3年5か月経過した現在,無再発生存中である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2014.0181 |