回腸重複腸管由来の粘液囊胞腺腫穿破による腹膜偽粘液腫の1例

症例は63歳の男性で,腹部膨満感を自覚し,腹部超音波検査で左下腹部に60×48×45 mm大の腫瘍を指摘された.腫瘍マーカーはCEA 6.4 ng/ml,CA19-9 65.3 U/mlと軽度高値であり,腹部造影CTおよび造影MRIより,悪性疾患である可能性を有する腸間膜囊胞性病変が疑われたため,診断および根治治療目的に手術の方針となった.術中所見では,回腸の腸間膜に既知の腫瘤性病変を認めたため,鏡視下に腫瘍を含めた小腸部分切除術を施行した.病理学的所見より,分離型の回腸重複腸管由来の粘液囊胞腺腫の診断を得た.手術時に既に腫瘍は穿破しており,粘液内に浮遊する腫瘍細胞を認め,腹膜偽粘液腫の再発を...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 7; pp. 488 - 497
Main Authors 土田, 明彦, 下田, 陽太, 田子, 友哉, 三吉, 健太, 松林, 純, 勝又, 健次, 榎本, 将也, 榎本, 正統, 石﨑, 哲央, 和田, 貴宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0101

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Summary:症例は63歳の男性で,腹部膨満感を自覚し,腹部超音波検査で左下腹部に60×48×45 mm大の腫瘍を指摘された.腫瘍マーカーはCEA 6.4 ng/ml,CA19-9 65.3 U/mlと軽度高値であり,腹部造影CTおよび造影MRIより,悪性疾患である可能性を有する腸間膜囊胞性病変が疑われたため,診断および根治治療目的に手術の方針となった.術中所見では,回腸の腸間膜に既知の腫瘤性病変を認めたため,鏡視下に腫瘍を含めた小腸部分切除術を施行した.病理学的所見より,分離型の回腸重複腸管由来の粘液囊胞腺腫の診断を得た.手術時に既に腫瘍は穿破しており,粘液内に浮遊する腫瘍細胞を認め,腹膜偽粘液腫の再発を念頭に厳重な経過観察が必要であると考えられた.重複腸管由来の腹膜偽粘液腫の報告は検索したかぎりでは本邦で3例,海外で3例のみであり,今後の経過が極めて興味深い1例と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0101