胆囊癌孤立性膵転移の1例
症例は54歳の男性で,膵・胆管合流異常症に合併する胆囊癌に対して胆囊全層切除,肝外胆管切除,リンパ節郭清,胆管空腸吻合術を施行された.病理組織学的診断は中分化型腺癌,pT2,ly0,v1,pN0,pStage IIであった.術後2年10か月,腹部超音波検査にて膵体部に不整形で遷延性の造影効果を伴う11 mm大の低エコー腫瘤を認めた.超音波内視鏡下穿刺生検を施行し,腺癌の組織診断を得た.膵体部癌cT3N0M0 cStage IIAと診断し,尾側膵切除を施行した.病理組織診断では膵体部に2か所の病変を認め,いずれの病変も低分化から中分化型の腺癌の所見であった.HE染色および免疫染色検査での形態・形...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 9; pp. 487 - 495 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.09.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2022.0097 |
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Summary: | 症例は54歳の男性で,膵・胆管合流異常症に合併する胆囊癌に対して胆囊全層切除,肝外胆管切除,リンパ節郭清,胆管空腸吻合術を施行された.病理組織学的診断は中分化型腺癌,pT2,ly0,v1,pN0,pStage IIであった.術後2年10か月,腹部超音波検査にて膵体部に不整形で遷延性の造影効果を伴う11 mm大の低エコー腫瘤を認めた.超音波内視鏡下穿刺生検を施行し,腺癌の組織診断を得た.膵体部癌cT3N0M0 cStage IIAと診断し,尾側膵切除を施行した.病理組織診断では膵体部に2か所の病変を認め,いずれの病変も低分化から中分化型の腺癌の所見であった.HE染色および免疫染色検査での形態・形質が既往の胆囊癌の病理組織学的検査所見と一致していたため,胆囊癌膵転移と診断した.術後18か月現在,無再発生存中である.転移性膵腫瘍の多くが腎細胞癌,肉腫,大腸癌,悪性黒色腫からの転移であり,胆囊癌の膵転移は極めてまれである.胆囊癌の孤立性膵転移について報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2022.0097 |