腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行したリンパ節転移を伴った膵solid-pseudopapillary neoplasmの1例

症例は33歳の女性で,左腰背部痛を主訴に近医の整形外科を受診した.腹部レントゲン写真で卵殻状の石灰化を左側腹部に認めたため,精査加療目的に当院を紹介受診した.腹部CTでは,膵尾部に46×48 mm大の辺縁に石灰化を伴った類縁形の腫瘤性病変を認め,病変内部の造影効果は乏しく出血壊死の所見であった.画像所見からは膵solid-pseudopapillary neoplasm(以下,SPNと略記)と診断し,腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的検査では,主腫瘍はSPNと診断可能であり,No. 11dリンパ節の一つに腫瘍と同様の腫瘍細胞が増殖しており,SPNのリンパ節転移と最終診断した.術後経...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 431 - 438
Main Authors 平野, 聡, 鈴木, 善法, 奥芝, 俊一, 福田, 純己, 川原田, 陽, 北城, 秀司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0131

Cover

More Information
Summary:症例は33歳の女性で,左腰背部痛を主訴に近医の整形外科を受診した.腹部レントゲン写真で卵殻状の石灰化を左側腹部に認めたため,精査加療目的に当院を紹介受診した.腹部CTでは,膵尾部に46×48 mm大の辺縁に石灰化を伴った類縁形の腫瘤性病変を認め,病変内部の造影効果は乏しく出血壊死の所見であった.画像所見からは膵solid-pseudopapillary neoplasm(以下,SPNと略記)と診断し,腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的検査では,主腫瘍はSPNと診断可能であり,No. 11dリンパ節の一つに腫瘍と同様の腫瘍細胞が増殖しており,SPNのリンパ節転移と最終診断した.術後経過は良好で,術後9か月の現在も再発を認めていない.リンパ節転移を伴った膵SPNはまれであり,腹腔鏡下手術を施行した報告例は過去にないので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0131