主膵管狭窄を来した小径のセロトニン陽性膵神経内分泌腫瘍の1例

症例は59歳の女性で,腹部CTで膵体部に主膵管狭窄を伴う10 mm大の腫瘤性病変を指摘された.腫瘤は造影早期相で辺縁優位に濃染し,後期相で中心部が漸増性濃染を示したことから,線維化を伴う膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor;以下,PanNETと略記)と診断し,膵体尾部切除術を施行した.切除標本では主膵管に接して最大径10 mmの腫瘍を認めた.病理所見で索状~小胞巣状の異型細胞を認め,主膵管狭窄部周囲にはセロトニン染色陽性の腫瘍細胞が線維性間質を伴いながら増殖していた.Ki-67陽性率3.1%,核分裂像0/50 HPFであったことからPanNET G2...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 53; no. 4; pp. 352 - 359
Main Authors 池原, 智彦, 清水, 明, 細田, 清孝, 野竹, 剛, 本山, 博章, 坂井, 紘紀, 小林, 聡, 藤田, 幸恵, 富田, 英紀, 副島, 雄二, 大月, 聡明, 福島, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2020
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2019.0057

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Summary:症例は59歳の女性で,腹部CTで膵体部に主膵管狭窄を伴う10 mm大の腫瘤性病変を指摘された.腫瘤は造影早期相で辺縁優位に濃染し,後期相で中心部が漸増性濃染を示したことから,線維化を伴う膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor;以下,PanNETと略記)と診断し,膵体尾部切除術を施行した.切除標本では主膵管に接して最大径10 mmの腫瘍を認めた.病理所見で索状~小胞巣状の異型細胞を認め,主膵管狭窄部周囲にはセロトニン染色陽性の腫瘍細胞が線維性間質を伴いながら増殖していた.Ki-67陽性率3.1%,核分裂像0/50 HPFであったことからPanNET G2と診断した.また,上腸間膜動脈リンパ節に転移を認めたことから,腫瘍径は小さいものの,生物学的悪性度が高い腫瘍であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2019.0057