Killian-Jamieson憩室内に発生した食道癌の1例

症例は65歳の男性で,他院のスクリーニング検査で多発食道癌を指摘され,そのうちの1病変は食道憩室内に認めた.CTでは甲状腺左葉背側に囊胞性腫瘤様の憩室を認め,頸部食道左側に突出していることからKillian-Jamieson憩室(以下,K-J憩室と略記)と診断し,多発食道癌に対し胸腔鏡下食道亜全摘術(二領域郭清),胸骨後経路再建術を施行した.咽頭食道憩室としてはZenker憩室が一般的であるが,本疾患の存在および解剖学的見地に基づくZenker憩室との違いを認識しておく必要がある.また,食道憩室内に発生する癌はまれであり,これまでK-J憩室内に発生した食道癌の報告はない.筋層の有無など憩室の特...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 2; pp. 67 - 74
Main Authors 加藤, 喬, 堀川, 学, 児玉, 良典, 押切, 太郎, 掛地, 吉弘, 長谷川, 寛, 谷, 明穂, 後藤, 裕信, 山下, 公大, 伊藤, 智雄, 安達, 祐里, 金治, 新悟, 松田, 武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2024
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2023.0016

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Summary:症例は65歳の男性で,他院のスクリーニング検査で多発食道癌を指摘され,そのうちの1病変は食道憩室内に認めた.CTでは甲状腺左葉背側に囊胞性腫瘤様の憩室を認め,頸部食道左側に突出していることからKillian-Jamieson憩室(以下,K-J憩室と略記)と診断し,多発食道癌に対し胸腔鏡下食道亜全摘術(二領域郭清),胸骨後経路再建術を施行した.咽頭食道憩室としてはZenker憩室が一般的であるが,本疾患の存在および解剖学的見地に基づくZenker憩室との違いを認識しておく必要がある.また,食道憩室内に発生する癌はまれであり,これまでK-J憩室内に発生した食道癌の報告はない.筋層の有無など憩室の特性によって内視鏡的治療の適応も通常と異なる場合があり,病態を慎重に考慮して治療法を選択する必要がある.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2023.0016