歯突起後方の腫瘤により脊髄症を呈した一例
症例は78歳女性, 両手の痺れ, 巧緻運動障害, 歩行困難にて平成9年10月当院整形外科入院.入院時の日本整形外科学会頸髄症治療成績判定基準 (以下JOAスコア) は7/17であった.頸椎MRIではT1, T2強調像共に低信号で, ガドリニウムにて増強効果を認めない硬膜外腫瘤が歯突起後方に存在し, 脊髄を著明に圧迫していた.同部の腫瘤による脊髄症と診断しC1C2の椎弓切除及び, 後頭骨頸椎後方固定術を施行した.腫瘤の摘出は行わなかった.術後腫瘤の状態をMRIにより調査した結果腫瘤の縮小が認められ, JOAスコアも11/17と改善した.環軸関節の不安定性や関節症性変化のある症例では環椎横靭帯の亀...
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| Published in | 昭和医学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 295 - 299 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
昭和大学学士会
28.04.2000
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0037-4342 2185-0976 |
| DOI | 10.14930/jsma1939.60.295 |
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| Summary: | 症例は78歳女性, 両手の痺れ, 巧緻運動障害, 歩行困難にて平成9年10月当院整形外科入院.入院時の日本整形外科学会頸髄症治療成績判定基準 (以下JOAスコア) は7/17であった.頸椎MRIではT1, T2強調像共に低信号で, ガドリニウムにて増強効果を認めない硬膜外腫瘤が歯突起後方に存在し, 脊髄を著明に圧迫していた.同部の腫瘤による脊髄症と診断しC1C2の椎弓切除及び, 後頭骨頸椎後方固定術を施行した.腫瘤の摘出は行わなかった.術後腫瘤の状態をMRIにより調査した結果腫瘤の縮小が認められ, JOAスコアも11/17と改善した.環軸関節の不安定性や関節症性変化のある症例では環椎横靭帯の亀裂と修復の繰り返しによる慢性的な機械的刺激が繊維性軟骨異形成を引き起こすとされている.腫瘤の本態が環椎横靭帯の反応性肥厚であることを考慮すると, 同部の固定のみでも腫瘤の縮小が期待できる. |
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| ISSN: | 0037-4342 2185-0976 |
| DOI: | 10.14930/jsma1939.60.295 |