肝門部領域胆管癌との鑑別に難渋した胃癌胆管転移の1切除例

胃癌遠隔転移における胆道狭窄の原因で胆管転移の報告はまれである.症例は71歳の男性で,2014年1月に重複胃癌に対し幽門側胃切除,2020年3月に食道胃接合部癌に対し残胃全摘を施行された.2020年10月にCTで肝門部腫瘤性病変と肝内胆管拡張を指摘され当院を受診した.肝門部領域胆管は全周性に肥厚狭窄していた.同部胆管生検は陰性であったが,画像所見から切除不能肝門部領域胆管癌と診断し,化学療法を6か月間施行した.腫瘍マーカーが激減し,原発巣および肝動脈周囲の癌浸潤縮小を認めたため根治切除の方針とし,尾状葉合併左肝切除,門脈切除再建を施行した.病理学的に,胆管周囲を中心に増殖する食道胃接合部癌標本...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 3; pp. 154 - 164
Main Authors 早﨑, 碧泉, 水野, 修吾, 飯澤, 祐介, 岸和田, 昌之, 湯淺, 博登, 種村, 彰洋, 栗山, 直久, 藤井, 武宏, 村田, 泰洋, 中邑, 信一朗, 林, 昭伸, 櫻井, 洋至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2023
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2021.0146

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Summary:胃癌遠隔転移における胆道狭窄の原因で胆管転移の報告はまれである.症例は71歳の男性で,2014年1月に重複胃癌に対し幽門側胃切除,2020年3月に食道胃接合部癌に対し残胃全摘を施行された.2020年10月にCTで肝門部腫瘤性病変と肝内胆管拡張を指摘され当院を受診した.肝門部領域胆管は全周性に肥厚狭窄していた.同部胆管生検は陰性であったが,画像所見から切除不能肝門部領域胆管癌と診断し,化学療法を6か月間施行した.腫瘍マーカーが激減し,原発巣および肝動脈周囲の癌浸潤縮小を認めたため根治切除の方針とし,尾状葉合併左肝切除,門脈切除再建を施行した.病理学的に,胆管周囲を中心に増殖する食道胃接合部癌標本と類似した低分化型腺癌,印環細胞癌成分を認めた.また,胆管粘膜上皮に癌はみられず胆管原発は否定的であり,食道胃接合部癌の胆管転移と診断した.術後3か月,局所再発による胆管空腸吻合部狭窄による胆管炎から敗血症を発症し,死亡した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2021.0146