原発性肺癌に対するニボルマブ治療中に小腸穿孔を生じた急性腹症の1例

症例は62歳の男性で,肺癌検診で右上葉肺癌(T2N2M1 stage IV,肺内転移,脳転移)と診断され,他院でCDDP+S-1療法,脳転移の放射線治療に続き,ニボルマブ治療中であった.投与の度に腹痛や黒色便を生じ,治療開始後63日目の夜に強い腹痛を生じ,救急搬送され当院救急外来を受診した.CTで腹腔内遊離ガスが認められ穿孔性腹膜炎と診断された.ニボルマブの副作用に対してステロイドによる保存的治療が有効であったが,小腸穿孔に伴う狭窄性病変から腸閉塞症状を来し,第35病日に小腸部分切除術を施行した.経過は良好で術後11日目に退院した.ニボルマブの副作用は,免疫チェックポイント阻害による過剰な免疫...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 279 - 285
Main Authors 平田, 健, 河村, 大智, 折田, 雅彦, 星井, 嘉信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0100

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Summary:症例は62歳の男性で,肺癌検診で右上葉肺癌(T2N2M1 stage IV,肺内転移,脳転移)と診断され,他院でCDDP+S-1療法,脳転移の放射線治療に続き,ニボルマブ治療中であった.投与の度に腹痛や黒色便を生じ,治療開始後63日目の夜に強い腹痛を生じ,救急搬送され当院救急外来を受診した.CTで腹腔内遊離ガスが認められ穿孔性腹膜炎と診断された.ニボルマブの副作用に対してステロイドによる保存的治療が有効であったが,小腸穿孔に伴う狭窄性病変から腸閉塞症状を来し,第35病日に小腸部分切除術を施行した.経過は良好で術後11日目に退院した.ニボルマブの副作用は,免疫チェックポイント阻害による過剰な免疫反応による.皮膚,消化管,肝臓,内分泌器官の順に多く,あらゆる時期に発生しうるため早期治療には細やかな経過観察が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0100