著明な左房壁石灰化を伴った僧帽弁狭窄の1症例
症例は64歳, 女性.脳梗塞, 慢性関節リウマチのため, 昭和54年6月から某病院に入院中, 胸部X線で左房の石灰化と心雑音を指摘された.59年6月精査目的で当院転院.入院時脈拍66/分, 不整, 血圧124/66, 心尖部に拡張期雑音を聴取, 肺ラ音.浮腫.HYHA III度であった.心電図は心房細動, 完全右脚ブロックを示し, 胸部CTでは左房壁全周の著明な石灰化を認めた.心音図では拡張期ランブル, 心エコー図では僧帽弁DDRの低下, 典型的矩形波を呈したが, 左房の拡大は認めなかった.心カテ所見では, 左室の収縮良好で, EFは0.85であったが, 左房の収縮と僧帽弁の可動性はほとんどみ...
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Published in | 昭和医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; pp. 723 - 728 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学学士会
1985
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ISSN | 0037-4342 2185-0976 |
DOI | 10.14930/jsma1939.45.723 |
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Summary: | 症例は64歳, 女性.脳梗塞, 慢性関節リウマチのため, 昭和54年6月から某病院に入院中, 胸部X線で左房の石灰化と心雑音を指摘された.59年6月精査目的で当院転院.入院時脈拍66/分, 不整, 血圧124/66, 心尖部に拡張期雑音を聴取, 肺ラ音.浮腫.HYHA III度であった.心電図は心房細動, 完全右脚ブロックを示し, 胸部CTでは左房壁全周の著明な石灰化を認めた.心音図では拡張期ランブル, 心エコー図では僧帽弁DDRの低下, 典型的矩形波を呈したが, 左房の拡大は認めなかった.心カテ所見では, 左室の収縮良好で, EFは0.85であったが, 左房の収縮と僧帽弁の可動性はほとんどみられず, C.I.は1.81/min/m2であった.心内圧はPCWPが18mmHgと高値以外特に異常を認めず, 冠動脈造影では三枝狭窄を認めた.広範な左房壁石灰化が血行動態に及ぼす影響については, 今後さらに検討が必要であると思われた. |
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ISSN: | 0037-4342 2185-0976 |
DOI: | 10.14930/jsma1939.45.723 |