入口部狭窄を伴う腐食性食道炎に対してステント留置併用二期分割手術を行った1例

症例は47歳の男性で,自殺企図で酸性洗剤を服用して前医へ搬送され,腐食性食道炎および胃炎と診断された.食道入口部から胃の前庭部まで広範囲に瘢痕狭窄を来し,内科的加療を行ったが改善されず,外科的加療目的に当科へ紹介となった.食道亜全摘および胃全摘,食道瘻造設を行い,食道入口狭窄部に対し食道用ステントを留置した.初回手術の2か月後に有茎空腸を用いた再建術を行い,再建術後33日目より経口摂取を開始し,54日目に退院された.術後1年8か月現在,明らかな狭窄症状の再燃は認めていない.食道入口部狭窄を伴う腐食性食道炎患者は再建術前に狭窄部の拡張を行うことが望まれるが,ステント留置術は咽頭側からの粘膜伸展が...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 6; pp. 307 - 314
Main Authors 青山, 紘希, 甲田, 祐介, 松本, 寛, 佐治, 雅史, 砂川, 秀樹, 岡部, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2023
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2022.0094

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Summary:症例は47歳の男性で,自殺企図で酸性洗剤を服用して前医へ搬送され,腐食性食道炎および胃炎と診断された.食道入口部から胃の前庭部まで広範囲に瘢痕狭窄を来し,内科的加療を行ったが改善されず,外科的加療目的に当科へ紹介となった.食道亜全摘および胃全摘,食道瘻造設を行い,食道入口狭窄部に対し食道用ステントを留置した.初回手術の2か月後に有茎空腸を用いた再建術を行い,再建術後33日目より経口摂取を開始し,54日目に退院された.術後1年8か月現在,明らかな狭窄症状の再燃は認めていない.食道入口部狭窄を伴う腐食性食道炎患者は再建術前に狭窄部の拡張を行うことが望まれるが,ステント留置術は咽頭側からの粘膜伸展が期待でき,食道瘻側からの位置調整が行えるため安全に管理が可能であった.食道ステント留置を併用した二期分割手術は咽頭喉頭を温存した再建術を考慮するうえで有用な選択肢となりうると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2022.0094