肝ガス壊疽による播種性血管内凝固症候群,多臓器不全から救命しえた1例
症例は60歳の男性で,16年前膵頭部癌にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行されていた.2010年10月,残膵の体部癌に対し,胃全摘術,残膵全摘術,脾摘出術を施行した.3病日に肝・腎不全,播種性血管内凝固症候群となり,CTで肝左葉にガス像を認めガス産生性肝膿瘍と診断した.7病日に正中創経由のドレナージを行い,肝・腎不全,播種性血管内凝固症候群はやや改善したが,炎症所見は改善せずCT所見も不変であった.15病日にドレナージ創を広げ肝左葉の一部を可及的に切除した.摘出した肝組織はスポンジ状に変性し,脈管も全て消失し完全な壊死に陥っており,肝ガス壊疽と診断した.以後,正中開放創から創外に脱出する壊死...
Saved in:
Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 416 - 423 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2013
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2012.0159 |
Cover
Summary: | 症例は60歳の男性で,16年前膵頭部癌にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行されていた.2010年10月,残膵の体部癌に対し,胃全摘術,残膵全摘術,脾摘出術を施行した.3病日に肝・腎不全,播種性血管内凝固症候群となり,CTで肝左葉にガス像を認めガス産生性肝膿瘍と診断した.7病日に正中創経由のドレナージを行い,肝・腎不全,播種性血管内凝固症候群はやや改善したが,炎症所見は改善せずCT所見も不変であった.15病日にドレナージ創を広げ肝左葉の一部を可及的に切除した.摘出した肝組織はスポンジ状に変性し,脈管も全て消失し完全な壊死に陥っており,肝ガス壊疽と診断した.以後,正中開放創から創外に脱出する壊死肝をベッドサイドで約4か月間計11回にわたり切除した結果,肝左葉が全て消失し炎症所見も改善した.血流不全を伴う肝ガス壊疽には穿刺または開放ドレナージの効果はわずかで,壊死組織の除去が重要と考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2012.0159 |