胆管腺腫内に発生した肝内胆管癌の1例

症例は51歳の女性で,健診で肝腫瘍を指摘され当院紹介となった.腹部造影CTで肝S4/8に動脈相で辺縁に造影効果のある低吸収域を認め,混合型肝癌もしくは肝内胆管癌と診断し,肝内側区域+肝S8亜区域切除術を施行した.切除標本では,腫瘍の辺縁部には核異型に乏しい胆管腺腫が存在し,中心部には核異型が強い肝内胆管癌が存在していた.腺腫と癌の移行部を認め,胆管腺腫内から発生した肝内胆管癌と診断した.また,p53染色では胆管腺腫に相当する核の染色は乏しく,肝内胆管癌に相当する核は強く染色された.肝内胆管癌の発生形式において,病理組織学的および遺伝子異常の双方の点から大腸癌領域などでいわれているadenoma...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 5; pp. 356 - 361
Main Authors 高森, 啓史, 小森, 宏之, 別府, 透, 赤星, 慎一, 杉原, 栄孝, 渡邊, 雅之, 馬場, 秀夫, 石河, 隆敏, 近本, 亮, 猪山, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0139

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Summary:症例は51歳の女性で,健診で肝腫瘍を指摘され当院紹介となった.腹部造影CTで肝S4/8に動脈相で辺縁に造影効果のある低吸収域を認め,混合型肝癌もしくは肝内胆管癌と診断し,肝内側区域+肝S8亜区域切除術を施行した.切除標本では,腫瘍の辺縁部には核異型に乏しい胆管腺腫が存在し,中心部には核異型が強い肝内胆管癌が存在していた.腺腫と癌の移行部を認め,胆管腺腫内から発生した肝内胆管癌と診断した.また,p53染色では胆管腺腫に相当する核の染色は乏しく,肝内胆管癌に相当する核は強く染色された.肝内胆管癌の発生形式において,病理組織学的および遺伝子異常の双方の点から大腸癌領域などでいわれているadenoma-carcinoma sequenceを経由して胆管腺腫が癌化した可能性が考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0139