膵切除にて長期生存が得られた大腸癌膵転移の2例

症例1は62歳の男性で,直腸癌術後4年目に膵頭部腫瘤を指摘,症例2は70歳の男性で,下行結腸癌術後3年目に膵体部腫瘤を認めた.両者とも乏血性腫瘤であり,CEAの上昇とPET-CTでFDGの強い集積を認め,MRCPで主膵管に閉塞や狭窄を認めなかった.超音波内視鏡下穿刺吸引法による細胞診所見にて原発性膵癌と診断し,症例1は膵頭十二指腸切除術,症例2は膵体尾部切除術を施行した.病理検査で原発巣と同様の組織像を認め免疫染色検査にてCK7陰性,CK20およびCDX2陽性であり大腸癌膵転移と診断した.症例2は膵領域リンパ節転移を認めた.現在,症例1は単発脳転移,多発肺転移を認めるも膵切除後3年9か月生存中...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 9; pp. 604 - 613
Main Authors 羽田野, 直人, 谷山, 大樹, 首藤, 毅, 清水, 洋祐, 尾上, 隆司, 田代, 裕尊, 鈴木, 崇久, 倉岡, 和矢, 久保田, 晴菜, 田澤, 宏文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2020.0068

Cover

More Information
Summary:症例1は62歳の男性で,直腸癌術後4年目に膵頭部腫瘤を指摘,症例2は70歳の男性で,下行結腸癌術後3年目に膵体部腫瘤を認めた.両者とも乏血性腫瘤であり,CEAの上昇とPET-CTでFDGの強い集積を認め,MRCPで主膵管に閉塞や狭窄を認めなかった.超音波内視鏡下穿刺吸引法による細胞診所見にて原発性膵癌と診断し,症例1は膵頭十二指腸切除術,症例2は膵体尾部切除術を施行した.病理検査で原発巣と同様の組織像を認め免疫染色検査にてCK7陰性,CK20およびCDX2陽性であり大腸癌膵転移と診断した.症例2は膵領域リンパ節転移を認めた.現在,症例1は単発脳転移,多発肺転移を認めるも膵切除後3年9か月生存中,症例2は膵切除後2年5か月無再発生存中である.大腸癌膵転移は他臓器にコントロール不良な転移巣がなく,完全切除が望める症例では集学的治療の一環として外科的切除を行う意義があると考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2020.0068