薬剤不応性の本態性血小板血症に対して術前血小板アフェレーシスを行った進行直腸癌の1例

症例は46歳の男性で,血便と肛門痛を主訴に受診し,血小板数1,833×103/μlと著明な上昇を指摘された.精査により本態性血小板血症(essential thrombocythemia;以下,ETと略記),直腸癌,多発肝転移,肛門周囲膿瘍と診断した.膿瘍の排膿と抗菌薬投与を行い,ETに対してhydroxyurea(HU)1,500 mg/日を21日間投与したが血小板数は1,182×103/μlと高値のままであった.血小板高値による出血・血栓形成のリスクと直腸癌の治療の緊急性を考慮して血小板アフェレーシスを試みた.2日間の血小板アフェレーシスで血小板数は247×103/μlに低下し,翌日腹腔鏡...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 5; pp. 380 - 386
Main Authors 橋爪, 健太郎, 中房, 祐司, 西山, 憲一, 小倉, 康裕, 山元, 啓文, 小島, 雅之, 井上, 重隆, 本山, 健太郎, 原田, 昌樹, 堤, 宏介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0126

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Summary:症例は46歳の男性で,血便と肛門痛を主訴に受診し,血小板数1,833×103/μlと著明な上昇を指摘された.精査により本態性血小板血症(essential thrombocythemia;以下,ETと略記),直腸癌,多発肝転移,肛門周囲膿瘍と診断した.膿瘍の排膿と抗菌薬投与を行い,ETに対してhydroxyurea(HU)1,500 mg/日を21日間投与したが血小板数は1,182×103/μlと高値のままであった.血小板高値による出血・血栓形成のリスクと直腸癌の治療の緊急性を考慮して血小板アフェレーシスを試みた.2日間の血小板アフェレーシスで血小板数は247×103/μlに低下し,翌日腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した.術後は合併症なく退院した.著しい血小板増多を示すETを合併する症例では周術期の血栓症や出血リスクが高いため,術前の血小板数管理が重要である.本症例は薬剤への反応が不良であったが血小板アフェレーシスを併用することで良好な結果を得ることができた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0126