尾状葉原発肝細胞癌に対して経肝アプローチによる腹腔鏡下肝尾状葉切除術を行った1例
症例は60歳の男性で,B型慢性肝炎の既往がある.造影CTにて尾状葉下大静脈部を中心とする2.7×2.5 cmの結節を認め,肝細胞癌と診断された.経肝アプローチによる尾状葉切除術を選択した.拡大視効果でより精緻な手術ができる腹腔鏡下手術を選択した.肝右葉と肝左葉を授動した後,下大静脈前面で右,中・左肝静脈以外の静脈枝を全て切離した.Cantlie線で肝切離を開始した.中肝静脈の右縁から背側をまわって,Arantius管まで肝切離を行った.次に右肝静脈の左縁から背側を露出するように頭側から肝切離を行った.肝門部で尾状葉に分岐するGlisson枝を全て処理した.尾状葉突起部右縁の変色域に沿って尾側か...
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| Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 3; pp. 179 - 186 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2018
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI | 10.5833/jjgs.2017.0048 |
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| Summary: | 症例は60歳の男性で,B型慢性肝炎の既往がある.造影CTにて尾状葉下大静脈部を中心とする2.7×2.5 cmの結節を認め,肝細胞癌と診断された.経肝アプローチによる尾状葉切除術を選択した.拡大視効果でより精緻な手術ができる腹腔鏡下手術を選択した.肝右葉と肝左葉を授動した後,下大静脈前面で右,中・左肝静脈以外の静脈枝を全て切離した.Cantlie線で肝切離を開始した.中肝静脈の右縁から背側をまわって,Arantius管まで肝切離を行った.次に右肝静脈の左縁から背側を露出するように頭側から肝切離を行った.肝門部で尾状葉に分岐するGlisson枝を全て処理した.尾状葉突起部右縁の変色域に沿って尾側から肝切離を行った.最後に残った尾状葉下大静脈部と後区域の間の肝実質を切離して標本を摘出した.本術式は肝門部や下大静脈周囲で特に良好な視野が得られた.しかし,手術時間や出血量については今後改善の余地がある. |
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| ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI: | 10.5833/jjgs.2017.0048 |