筋強直性ジストロフィー症に併存した胃癌の1例

筋強直性ジストロフィー症(myotonic dystrophy;以下,MDと略記)は,全身麻酔下の手術で,呼吸器合併症を引き起こしやすいとされる.症例は51歳の女性で,食事摂取不良を主訴に近医受診した.既往にMDがあった.血液検査ではHb 8.0 g/dlと貧血を認めた.また,術前の呼吸機能検査ではVC 0.93 l,%VC 37.8と拘束性換気障害を認めた.精査にて臨床病期はcStage IIIAと診断し,治療は,食事摂取困難,貧血という症状を有することから,手術を選択した.胃全摘術,D1+郭清,Roux-en-Y再建,腸瘻造設を施行した.麻酔は,全身麻酔に硬膜外麻酔を併用した.プロポフォー...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 400 - 405
Main Authors 太田, 俊介, 春日, 聡, 野口, 典男, 川上, 雅代, 小林, 宏寿, 田中, 道雄, 羽深, 鎌一郎, 前川, 彩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0110

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Summary:筋強直性ジストロフィー症(myotonic dystrophy;以下,MDと略記)は,全身麻酔下の手術で,呼吸器合併症を引き起こしやすいとされる.症例は51歳の女性で,食事摂取不良を主訴に近医受診した.既往にMDがあった.血液検査ではHb 8.0 g/dlと貧血を認めた.また,術前の呼吸機能検査ではVC 0.93 l,%VC 37.8と拘束性換気障害を認めた.精査にて臨床病期はcStage IIIAと診断し,治療は,食事摂取困難,貧血という症状を有することから,手術を選択した.胃全摘術,D1+郭清,Roux-en-Y再建,腸瘻造設を施行した.麻酔は,全身麻酔に硬膜外麻酔を併用した.プロポフォールで導入し,筋弛緩は導入時に単回投与で,手術終了時に抜管した.術後は第3病日から経管栄養開始,第5病日に食事開始し,特に合併症はなく,第16病日に退院した.MD患者に合併した胃癌手術例の報告はまれであり報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0110