Churg-Strauss症候群の治療経過中,小腸穿孔を来しサイトメガロウイルス腸炎の関与が示唆された1例
症例は70歳の女性で,Churg-Strauss症候群(Churg-Strauss syndrome;CSS)のため,1か月前よりステロイド,免疫抑制剤による加療を行っていた.腹痛が出現し,大腸内視鏡検査を施行したところ,検査後より腹痛の増悪を認めた.CTで腹腔内遊離ガスおよび大量の腹水を認めたため消化管穿孔と診断し,緊急手術を施行した.トライツ靭帯から120 cmの部位から90 cmの間の小腸に4か所の潰瘍が認められ,うち2か所は穿孔していた.100 cmにわたって小腸を切除し,小腸瘻造設を行った.病理組織学的検査で核に抗サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;以下,CMVと略...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 57 - 65 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.01.2014
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2013.0129 |
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Summary: | 症例は70歳の女性で,Churg-Strauss症候群(Churg-Strauss syndrome;CSS)のため,1か月前よりステロイド,免疫抑制剤による加療を行っていた.腹痛が出現し,大腸内視鏡検査を施行したところ,検査後より腹痛の増悪を認めた.CTで腹腔内遊離ガスおよび大量の腹水を認めたため消化管穿孔と診断し,緊急手術を施行した.トライツ靭帯から120 cmの部位から90 cmの間の小腸に4か所の潰瘍が認められ,うち2か所は穿孔していた.100 cmにわたって小腸を切除し,小腸瘻造設を行った.病理組織学的検査で核に抗サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;以下,CMVと略記)抗体陽性を示す細胞が観察され,CMV腸炎による小腸穿孔と診断された.免疫不全を基礎疾患とした腹痛ではCMV腸炎も疑い,早期の精査および抗ウイルス薬の投与が必要である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2013.0129 |