Hemosuccus pancreaticusを来した浸潤性膵管癌の1例
症例は86歳の女性で,ふらつき・黒色便を主訴に当院受診となった.来院時にHb 7.3 g/dlの貧血を認め,腹部造影CTで膵体尾部に56×28 mm大の,内部不均一で一部に造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査にてVater乳頭より噴出する出血を認め,膵体尾部癌に伴うhemosuccus pancreaticus(以下,HPと略記)と診断した.同日緊急血管造影検査および脾動脈コイル塞栓術を施行し,塞栓術後に貧血は一過性に改善したが,濃厚赤血球製剤の投与を終了すると再び貧血の進行を認めた.第18病日に膵体尾部切除術を施行し,標本摘出後の術中内視鏡にてHPの消失を確認しえた.術後は...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 9; pp. 614 - 621 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.09.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0097 |
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Summary: | 症例は86歳の女性で,ふらつき・黒色便を主訴に当院受診となった.来院時にHb 7.3 g/dlの貧血を認め,腹部造影CTで膵体尾部に56×28 mm大の,内部不均一で一部に造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査にてVater乳頭より噴出する出血を認め,膵体尾部癌に伴うhemosuccus pancreaticus(以下,HPと略記)と診断した.同日緊急血管造影検査および脾動脈コイル塞栓術を施行し,塞栓術後に貧血は一過性に改善したが,濃厚赤血球製剤の投与を終了すると再び貧血の進行を認めた.第18病日に膵体尾部切除術を施行し,標本摘出後の術中内視鏡にてHPの消失を確認しえた.術後は貧血の速やかな改善を認め,第35病日に退院となった.摘出標本の病理結果はinvasive ductal carcinoma(pT3N1M0 pStage IIB)であった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0097 |