膵・胆管合流異常に合併した共通管内乳頭状腫瘍の1例

膵・胆管合流異常に合併した共通管内乳頭状腫瘍の1例を報告する.症例は75歳の男性で,6か月間に2度の急性膵炎を発症し保存的加療で軽快した.急性膵炎の原因精査および加療目的で当院へ紹介となった.ERCPでは膵・胆管合流異常を認め,共通管内に7 mmの結節様陰影欠損像を認めた.上部内視鏡検査では乳頭部からの粘液排出は認めず,超音波内視鏡検査では共通管内に乳頭状の腫瘍が描出された.造影CTでは膵頭部に拡張した共通管と内部に増強効果を持つ8 mmの腫瘤を認めた.尾側の主膵管の拡張は認めなかった.膵・胆管合流異常に合併した共通管内乳頭状腫瘍と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理肉眼所見で...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 2; pp. 114 - 121
Main Authors 大本, 俊介, 里井, 俊平, 川口, 晃平, 亀井, 敬子, 中居, 卓也, 筑後, 孝章, 竹山, 宜典, 工藤, 正俊, 竹中, 完, 松本, 正孝, 村瀬, 貴昭, 松本, 逸平, 幕谷, 悠介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0066

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Summary:膵・胆管合流異常に合併した共通管内乳頭状腫瘍の1例を報告する.症例は75歳の男性で,6か月間に2度の急性膵炎を発症し保存的加療で軽快した.急性膵炎の原因精査および加療目的で当院へ紹介となった.ERCPでは膵・胆管合流異常を認め,共通管内に7 mmの結節様陰影欠損像を認めた.上部内視鏡検査では乳頭部からの粘液排出は認めず,超音波内視鏡検査では共通管内に乳頭状の腫瘍が描出された.造影CTでは膵頭部に拡張した共通管と内部に増強効果を持つ8 mmの腫瘤を認めた.尾側の主膵管の拡張は認めなかった.膵・胆管合流異常に合併した共通管内乳頭状腫瘍と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理肉眼所見では共通管内に発育する有茎性の乳頭状腫瘍で,組織像は管状構造増生を主体とする腺腫であった.免疫組織学的染色ではMUC1,MUC2陰性,MUC5AC陽性で胃型腺腫と最終診断した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0066