上行結腸孤立性転移を契機に発見された原発性小腸癌の1例

症例は52歳の女性で,子宮体癌,卵巣癌,甲状腺癌,直腸癌に対して根治術が施行され,無再発で5年以上が経過していた.2010年12月に下部内視鏡検査で上行結腸に2型腫瘍を認め,生検で印環細胞癌と診断された.他臓器癌の浸潤や転移の可能性が考慮されたが,画像検査でこれを示唆する所見がなく,原発性上行結腸癌と診断した.開腹による結腸右半切除術を施行し,回腸末端から15 cm口側に腫瘤を触知したため,同部から10 cmのマージンを確保して腸管を切離した.上行結腸病変は粘膜下腫瘍の形態で印環細胞がびまん性に粘膜下層から漿膜下層まで浸潤し,上皮内に癌組織を認めなかった.回腸病変は高分化型腺癌から連続して粘液...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 5; pp. 442 - 448
Main Authors 成廣, 哲史, 中島, 紳太郎, 矢永, 勝彦, 衛藤, 謙, 池上, 雅博, 小村, 伸朗, 満山, 喜宣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0141

Cover

More Information
Summary:症例は52歳の女性で,子宮体癌,卵巣癌,甲状腺癌,直腸癌に対して根治術が施行され,無再発で5年以上が経過していた.2010年12月に下部内視鏡検査で上行結腸に2型腫瘍を認め,生検で印環細胞癌と診断された.他臓器癌の浸潤や転移の可能性が考慮されたが,画像検査でこれを示唆する所見がなく,原発性上行結腸癌と診断した.開腹による結腸右半切除術を施行し,回腸末端から15 cm口側に腫瘤を触知したため,同部から10 cmのマージンを確保して腸管を切離した.上行結腸病変は粘膜下腫瘍の形態で印環細胞がびまん性に粘膜下層から漿膜下層まで浸潤し,上皮内に癌組織を認めなかった.回腸病変は高分化型腺癌から連続して粘液湖が形成され,漿膜下層に低分化腺癌や印環細胞の増殖を認めた.免疫染色検査の結果,原発性小腸癌の上行結腸転移と診断した.今回,我々は原発性小腸癌の上行結腸転移の症例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0141