急激な経過をたどったgranulocyte-colony stimulating factor産生直腸未分化癌の1例

症例は84歳の男性で,便通異常を主訴に当院を受診した.初診時の血液生化学検査の白血球数は10,900/‍mm3(好中球8,500/mm3)で,大腸内視鏡検査では直腸に全周性の2型腫瘍を認め,生検では未分化癌が検出された.腹部CTにて肝転移を認め,直腸未分化癌(A,N2, P0,H1)の診断でハルトマン手術を施行した.術後化学療法(cetuximab単独投与)を施行したが,肝転移巣の急激な増大,骨盤内再発を認め,術後53病日に多発性脳梗塞(Trousseau症候群)を併発し,術後58病日目に死亡した.切除標本の病理組織学的検査所見は未分化癌で,免疫染色検査ではgranulocyte-colony...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 1; pp. 68 - 74
Main Authors 林, 忠毅, 田村, 浩章, 池松, 禎人, 森, 弘樹, 西脇, 由朗, 小澤, 享史, 金井, 俊和, 大菊, 正人, 中村, 明子, 平山, 一久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2015
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0070

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Summary:症例は84歳の男性で,便通異常を主訴に当院を受診した.初診時の血液生化学検査の白血球数は10,900/‍mm3(好中球8,500/mm3)で,大腸内視鏡検査では直腸に全周性の2型腫瘍を認め,生検では未分化癌が検出された.腹部CTにて肝転移を認め,直腸未分化癌(A,N2, P0,H1)の診断でハルトマン手術を施行した.術後化学療法(cetuximab単独投与)を施行したが,肝転移巣の急激な増大,骨盤内再発を認め,術後53病日に多発性脳梗塞(Trousseau症候群)を併発し,術後58病日目に死亡した.切除標本の病理組織学的検査所見は未分化癌で,免疫染色検査ではgranulocyte-colony stimulating factor(以下,G-CSFと略記)が陽性だった.血清G-CSF値高値と併せてG-CSF産生腫瘍と診断した.G-CSF産生大腸癌はまれであり文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0070