胆囊摘出術により確定診断しえたhyalinizing cholecystitis合併IgG4関連硬化性胆管炎
症例は64歳の男性で,閉塞性黄疸に対する胆道ドレナージ後に当院紹介となった.血液,画像検査から肝門部胆管癌が疑われたが,精査期間中に胆管狭窄像は自然軽快した.また,血清IgG4値の軽度上昇から,IgG4関連硬化性胆管炎が疑われた.1か月後の再評価時に胆管再狭窄像を認め,PETで胆管狭窄部,胆囊壁,肝十二指腸間膜リンパ節に高集積を認めたため悪性腫瘍を否定できず開腹手術を施行した.術中迅速診断で腫大リンパ節,胆囊管断端に悪性所見を認めず,胆囊摘出術のみで手術を終了した.胆囊壁には高度硝子線維増生とIgG4陽性形質細胞増加を認め,臨床経過と合わせてhyalinizing cholecystitis(...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 3; pp. 213 - 221 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2017
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2015.0221 |
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Summary: | 症例は64歳の男性で,閉塞性黄疸に対する胆道ドレナージ後に当院紹介となった.血液,画像検査から肝門部胆管癌が疑われたが,精査期間中に胆管狭窄像は自然軽快した.また,血清IgG4値の軽度上昇から,IgG4関連硬化性胆管炎が疑われた.1か月後の再評価時に胆管再狭窄像を認め,PETで胆管狭窄部,胆囊壁,肝十二指腸間膜リンパ節に高集積を認めたため悪性腫瘍を否定できず開腹手術を施行した.術中迅速診断で腫大リンパ節,胆囊管断端に悪性所見を認めず,胆囊摘出術のみで手術を終了した.胆囊壁には高度硝子線維増生とIgG4陽性形質細胞増加を認め,臨床経過と合わせてhyalinizing cholecystitis(以下,HCと略記)合併IgG4関連硬化性胆管炎と最終診断した.HC合併IgG4関連硬化性胆管炎の報告は本例がはじめてと考えられ,胆囊壁の病理学的所見が診断の一助となる症例も存在する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2015.0221 |