盲腸癌に併発した腸間膜原発Castleman病の1例

症例は79歳の女性で,近医にて便潜血陽性を指摘され,盲腸癌の診断で当科紹介となった.術前の腹部CTでは盲腸癌に加えて,膵頭部左側の223番リンパ節領域(以下,No. 223と略記)に径17 mmの円形結節を認め,FDG-PETにて同部位にFDG集積を認めた.腹腔鏡補助下回盲部切除,D3郭清を施行したが,結節性病変は横行結腸間膜内に認め,小開腹時に直視下に切除した.病理組織学的検査所見では原発巣は中分化型管状腺癌と診断された.No. 223領域の結節性病変は腫大したリンパ節でリンパ濾胞増生,胚中心への硝子化血管の侵入を認めた.免疫染色検査では腫瘍性増生を認めず,横行結腸間膜に発生した限局型Cas...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 7; pp. 571 - 578
Main Authors 小島, 康知, 塩崎, 滋弘, 髙橋, 一剛, 井谷, 史嗣, 岡島, 正純, 住谷, 大輔, 原野, 雅生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0093

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Summary:症例は79歳の女性で,近医にて便潜血陽性を指摘され,盲腸癌の診断で当科紹介となった.術前の腹部CTでは盲腸癌に加えて,膵頭部左側の223番リンパ節領域(以下,No. 223と略記)に径17 mmの円形結節を認め,FDG-PETにて同部位にFDG集積を認めた.腹腔鏡補助下回盲部切除,D3郭清を施行したが,結節性病変は横行結腸間膜内に認め,小開腹時に直視下に切除した.病理組織学的検査所見では原発巣は中分化型管状腺癌と診断された.No. 223領域の結節性病変は腫大したリンパ節でリンパ濾胞増生,胚中心への硝子化血管の侵入を認めた.免疫染色検査では腫瘍性増生を認めず,横行結腸間膜に発生した限局型Castleman病(hyaline vascular type)と診断した.腹腔内原発限局型Castleman病は術前診断が困難であるが,腫瘍切除により良好な予後が見込めるため,本疾患が鑑別に挙がる症例では積極的な摘出術が望まれる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0093