同時性胆囊転移を伴った上行結腸癌の1例

転移性胆囊腫瘍はまれな疾患である.今回,我々はさらに報告例の少ない大腸癌の胆囊転移を経験したので報告する.症例は82歳の男性で,食思不振を主訴に救急外来を受診し,高度貧血を認め入院精査となった.下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に全周性2型病変を認め生検にて中分化管状腺癌の結果であった.さらに,腹部超音波検査にて一部肝との境界不明瞭な胆囊腫瘤を認めた.上行結腸癌,胆囊腫瘍の術前診断で右半結腸切除術,胆囊摘出+胆囊床切除術を施行した.病理所見で上行結腸癌はSS,N2,ly1,v0,胆囊は一部漿膜下層に限局した腺癌細胞の増殖を認めた.免疫染色検査の結果結腸癌胆囊転移と診断となった.現在術後3年無再発...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 5; pp. 373 - 379
Main Authors 加藤, 祐一郎, 清板, 和昭, 河野, 弘, 佐竹, 立成, 米山, 文彦, 尾辻, 英彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0114

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Summary:転移性胆囊腫瘍はまれな疾患である.今回,我々はさらに報告例の少ない大腸癌の胆囊転移を経験したので報告する.症例は82歳の男性で,食思不振を主訴に救急外来を受診し,高度貧血を認め入院精査となった.下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に全周性2型病変を認め生検にて中分化管状腺癌の結果であった.さらに,腹部超音波検査にて一部肝との境界不明瞭な胆囊腫瘤を認めた.上行結腸癌,胆囊腫瘍の術前診断で右半結腸切除術,胆囊摘出+胆囊床切除術を施行した.病理所見で上行結腸癌はSS,N2,ly1,v0,胆囊は一部漿膜下層に限局した腺癌細胞の増殖を認めた.免疫染色検査の結果結腸癌胆囊転移と診断となった.現在術後3年無再発生存中である.転移性胆囊腫瘍は悪性黒色腫においては散見されるが,その他の悪性疾患ではまれである.大腸癌の胆囊転移は遠隔転移ではあるが,切除により長期生存の可能性があると思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0114