膵体部腫瘍を伴うmultiple endocrine neoplasia type 1型ガストリノーマ患者に対する選択的動脈内カルシウム負荷試験が根治的手術に寄与した1例

Multiple endocrine neoplasia type 1(MEN-1型)の診断をうけた66歳の男性で,高ガストリン血症と腹部CTで膵体部に約20 mm大の腫瘍を認めた.血管造影では膵体部腫瘍は上腸間膜動脈より濃染されたが,selective arterial calcium injection test(以下,SACI検査と略記)では胃十二指腸動脈が陽性で,上腸間膜動脈からの刺激では陰性だった.よってガストリン産生腫瘍が存在する領域は画像検査で異常を認めなかった十二指腸もしくは膵頭部と診断し,膵体部腫瘍も含めた亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(subtotal stomach-pre...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 9; pp. 669 - 677
Main Authors 篠原, 寿彦, 村上, 慶四郎, 羽生, 信義, 阿部, 光文, 矢永, 勝彦, 渡部, 篤史, 薄葉, 輝之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0295

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Summary:Multiple endocrine neoplasia type 1(MEN-1型)の診断をうけた66歳の男性で,高ガストリン血症と腹部CTで膵体部に約20 mm大の腫瘍を認めた.血管造影では膵体部腫瘍は上腸間膜動脈より濃染されたが,selective arterial calcium injection test(以下,SACI検査と略記)では胃十二指腸動脈が陽性で,上腸間膜動脈からの刺激では陰性だった.よってガストリン産生腫瘍が存在する領域は画像検査で異常を認めなかった十二指腸もしくは膵頭部と診断し,膵体部腫瘍も含めた亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(subtotal stomach-preserving pancreatoduodenectomy;SSPPD)を施行した.切除検体で十二指腸および膵体部にガストリノーマを認めた.膵体部腫瘍を高ガストリン血症の責任病変と断定せずにSACI検査結果を重視し,腫瘍性病変を認めなかった胃十二指腸動脈領域の臓器切除を行ったことで根治的治療に至った.術後10か月が経過したが,ガストリノーマの再発を認めていない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0295