多発小腸病変を伴う移植後リンパ増殖性疾患による小腸出血の切除例

移植後リンパ増殖性疾患に伴う小腸出血は検索範囲内で6例とまれな病態である.症例は35歳の女性で,腎不全のため,16歳時,23歳時に両親から生体腎臓移植を受け,免疫抑制剤を内服していた.2020年12月,貧血を契機に近医で施行した上部消化管内視鏡検査で移植後リンパ増殖性疾患と診断され,精査加療目的で当院血液内科に紹介となった.FDG-PETで多発小腸病変が指摘され,2021年3月より入院のうえ,薬物療法が開始された.開始後14日目より暗赤色便を認め,保存的治療にて改善を認めず17日目に緊急手術を施行した.開腹すると全小腸にわたる腸管内血腫と小腸に5か所の結節を認め,小腸を切開し術野から直接挿入し...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 45 - 52
Main Authors 渡邉, 昌也, 金本, 秀行, 佐藤, 真輔, 瀧, 雄介, 伊藤, 貴保, 徳田, 智史, 鈴木, 誠, 谷岡, 書彦, 鈴木, 亮介, 大端, 考, 大場, 範行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2025
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2023.0077

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Summary:移植後リンパ増殖性疾患に伴う小腸出血は検索範囲内で6例とまれな病態である.症例は35歳の女性で,腎不全のため,16歳時,23歳時に両親から生体腎臓移植を受け,免疫抑制剤を内服していた.2020年12月,貧血を契機に近医で施行した上部消化管内視鏡検査で移植後リンパ増殖性疾患と診断され,精査加療目的で当院血液内科に紹介となった.FDG-PETで多発小腸病変が指摘され,2021年3月より入院のうえ,薬物療法が開始された.開始後14日目より暗赤色便を認め,保存的治療にて改善を認めず17日目に緊急手術を施行した.開腹すると全小腸にわたる腸管内血腫と小腸に5か所の結節を認め,小腸を切開し術野から直接挿入した術中内視鏡にて出血部位の同定および,潰瘍性病変の活動性を評価後,出血部位および活動性潰瘍部位を含む小腸部分切除を施行した.術後1か月後より薬物療法を再開し,完全寛解に至った.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2023.0077