切除不能進行胃癌に対するconversion手術症例の予後因子の同定

目的:切除不能進行胃癌に対する化学療法の進歩により,conversion手術症例に対する臨床経験は増加しているが,依然として予後不良な症例は多い.本研究の目的はconversion手術の長期予後を検討し,予後不良な因子を明らかにすることである.方法:2006年10月から2019年7月までの期間に,当院で切除不能進行胃癌に対してconversion手術を行った47例を対象とし,予後解析を行った.結果:(1)切除不能因子は肝転移8例,腹膜播種12例,領域外リンパ節転移22例,膵頭部浸潤5例であった.(2)切除不能進行胃癌におけるconversion手術のR0切除率は76.6%であった.1年,3年,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 3; pp. 147 - 155
Main Authors 牛久, 秀樹, 和田, 拓也, 櫻谷, 美貴子, 石戸, 謙次, 山下, 継史, 田邉, 聡, 比企, 直樹, 新原, 正大, 細田, 桂, 原田, 宏輝, 鷲尾, 真理愛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2022
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2020.0176

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Summary:目的:切除不能進行胃癌に対する化学療法の進歩により,conversion手術症例に対する臨床経験は増加しているが,依然として予後不良な症例は多い.本研究の目的はconversion手術の長期予後を検討し,予後不良な因子を明らかにすることである.方法:2006年10月から2019年7月までの期間に,当院で切除不能進行胃癌に対してconversion手術を行った47例を対象とし,予後解析を行った.結果:(1)切除不能因子は肝転移8例,腹膜播種12例,領域外リンパ節転移22例,膵頭部浸潤5例であった.(2)切除不能進行胃癌におけるconversion手術のR0切除率は76.6%であった.1年,3年,5年全生存率は,93.6%,54.2%,34.6%であった.(3)多変量予後解析では,リンパ節転移陽性(HR 7.3,95%CI 2.46~24.7,P=0.0003)と深達度T4(HR 3.16,95%CI 1.04~9.96,P=0.0419)が独立した予後不良因子であった.(4)肝転移再発4例,腹膜播種再発7例,リンパ節転移再発3例における予後に有意な差は認めなかった(P=0.14).結語:切除不能進行胃癌におけるconversion手術症例ではリンパ節転移陽性と深達度T4が予後不良因子であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2020.0176