右横隔膜ヘルニアに合併した肝鎌状間膜ヘルニア嵌頓に対して腹腔鏡下修復術を行った1例

症例は89歳の女性で,2日前から嘔吐で前医に入院していた.イレウスと診断され,イレウス管を留置したが,状態改善なく撮影したCTで右上腹部にloop状の小腸を認め当院に緊急搬送となった.右横隔膜ヘルニアの囊内に拡張小腸を認め,右横隔膜ヘルニア嵌頓と判断し同日緊急手術を行った.腹腔鏡下で観察したところ,肝鎌状間膜の異常裂孔に小腸が嵌頓し,その嵌頓小腸が右横隔膜ヘルニア内に納まっている状態であった.嵌頓していた小腸はviabilityがあり切除を要しなかった.腹腔鏡下で異常裂孔を開放し,右横隔膜ヘルニアをメッシュ留置し修復した.肝鎌状間膜ヘルニアの場合は,異常裂孔の開放が基本となっており手術手技は比...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 1; pp. 81 - 85
Main Authors 河本, 和幸, 嵯峨, 謙一, 岡部, 道雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0037

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Summary:症例は89歳の女性で,2日前から嘔吐で前医に入院していた.イレウスと診断され,イレウス管を留置したが,状態改善なく撮影したCTで右上腹部にloop状の小腸を認め当院に緊急搬送となった.右横隔膜ヘルニアの囊内に拡張小腸を認め,右横隔膜ヘルニア嵌頓と判断し同日緊急手術を行った.腹腔鏡下で観察したところ,肝鎌状間膜の異常裂孔に小腸が嵌頓し,その嵌頓小腸が右横隔膜ヘルニア内に納まっている状態であった.嵌頓していた小腸はviabilityがあり切除を要しなかった.腹腔鏡下で異常裂孔を開放し,右横隔膜ヘルニアをメッシュ留置し修復した.肝鎌状間膜ヘルニアの場合は,異常裂孔の開放が基本となっており手術手技は比較的簡便である.特に本症例のように,手術歴のない症例では腹腔鏡下手術は有用であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0037