口蓋裂を伴うPierre Robin sequence症例の臨床的検討

Pierre Robin sequence(PRS)は小下顎,舌根沈下,上気道閉塞による呼吸障害を主要症状とする病態で,口蓋裂を合併することが多い。出生直後から呼吸,摂食管理を必要とし,周術期管理,言語,摂食嚥下訓練などに苦慮することがある。今回,2006~2010年に当センターを初診したPRS1次症例26例に対し,症候群合併の有無から,non syndromic(ns)PRS,syndromic(s)PRS,さらに症候群不明の多発先天異常を伴うunique(u)PRSの3群に分類し,後方視的検討を行ない以下の結果を得た。 1.26例中男児10例,女児16例,ns PRS 14例,s PRS...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 38; no. 1; pp. 71 - 76
Main Authors 山田, 守正, 今村, 基尊, 水谷, 英樹, 相澤, 貴子, 小林, 義和, 佐藤, 公治, 内藤, 健晴, 近藤, 俊, 吉村, 陽子, 奥本, 隆行, 堀部, 晴司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 25.04.2013
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.38.71

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Summary:Pierre Robin sequence(PRS)は小下顎,舌根沈下,上気道閉塞による呼吸障害を主要症状とする病態で,口蓋裂を合併することが多い。出生直後から呼吸,摂食管理を必要とし,周術期管理,言語,摂食嚥下訓練などに苦慮することがある。今回,2006~2010年に当センターを初診したPRS1次症例26例に対し,症候群合併の有無から,non syndromic(ns)PRS,syndromic(s)PRS,さらに症候群不明の多発先天異常を伴うunique(u)PRSの3群に分類し,後方視的検討を行ない以下の結果を得た。 1.26例中男児10例,女児16例,ns PRS 14例,s PRS 10例,u PRS 2例であった。 2.初診時日齢は1~291日,出生時体重は,ns PRS 2,932±447g,s PRS 2,850±571g,u PRS 1,607±804g,ns PRSとs PRS間に有意差はなかった。 3.必要とした呼吸,摂食管理として,I期(新生児~6ヶ月)には,ns PRSで気管挿管を要したもの1例,経管栄養を要したもの10例,s PRSで気管切開を要したもの3例,経管栄養を要したもの8例,u PRSで気管挿管を要したもの1例,経管栄養を要したもの1例であった。II期(手術検討期;1歳~1歳6ヶ月)には,ns PRSでは呼吸・摂食とも管理不要となった。s PRSでは3例が気管切開のまま,6例で経管栄養が継続されていた。u PRSではいずれも管理不要であった。 4.ns PRSでは月齢24.9±7.0ヶ月に全例口蓋形成術が施行された。u PRSでも月齢40.5±4.9ヶ月に2例とも口蓋形成術が施行された。一方,s PRSでは手術不要1例,施行1例,予定2例で,6例では手術未施行であった。周術期合併症としてns PRS 1例で術後出血を認めた。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.38.71