糖原病Ia型合併多発肝細胞腺腫の1切除例
糖原病Ia型に対する周術期管理に関する報告は少ない.今回,我々は糖原病Ia型に合併した肝細胞腺腫に肝切除を行った1例を経験したので報告する.症例は20歳の女性で,2歳時に糖原病Ia型と診断,増大する多発肝細胞腺腫を指摘されていた.19歳時に糖原病に伴う二次性巣状分節生糸球体硬化症と診断され腎移植を行う方針となったが,5 cm以上の肝細胞腺腫の先行切除目的に当科紹介となった.画像検索で肝外側区域に径17 cm,S8に径6.5 cmの腫瘤を認め,肝全体に径3 cm以下の多発腫瘤が散在し,肝細胞腺腫と診断した.手術はS8腫瘤を含めた左肝切除術を施行した.病理組織診断で,悪性の指標となるβ-caten...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 8; pp. 501 - 510 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.08.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2021.0126 |
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Summary: | 糖原病Ia型に対する周術期管理に関する報告は少ない.今回,我々は糖原病Ia型に合併した肝細胞腺腫に肝切除を行った1例を経験したので報告する.症例は20歳の女性で,2歳時に糖原病Ia型と診断,増大する多発肝細胞腺腫を指摘されていた.19歳時に糖原病に伴う二次性巣状分節生糸球体硬化症と診断され腎移植を行う方針となったが,5 cm以上の肝細胞腺腫の先行切除目的に当科紹介となった.画像検索で肝外側区域に径17 cm,S8に径6.5 cmの腫瘤を認め,肝全体に径3 cm以下の多発腫瘤が散在し,肝細胞腺腫と診断した.手術はS8腫瘤を含めた左肝切除術を施行した.病理組織診断で,悪性の指標となるβ-catenin,glutamine synthetase,Cyclase-associated Protein 2の発現が一部陽性となり悪性化が否定できなかった.周術期には,動脈血液ガス分析を用いたモニタリングおよび術中より高濃度ブドウ糖持続投与による血糖管理を行い,著明な乳酸アシドーシスや低血糖を来すことなく管理を行うことができた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2021.0126 |