2度の大腸癌腹膜播種結節切除後に発症した原発性小腸癌の1例
症例は73歳の女性で,2010年2月に上行結腸癌が先進部の腸重積,横行結腸穿孔,汎発性腹膜炎の診断で,当科にて拡大結腸右半切除術+D2リンパ節郭清術,回腸人工肛門造設術を施行した.病理学的診断は粘液癌でpSS,pN0,ly1,v1,pPM0,pDM0,pRM0,fStage IIであった.初回手術から4年,6年後に後腹膜再発を指摘され,いずれも摘出術を施行し,播種再発と診断した.初回手術から7年半後に腸閉塞のため当科紹介となり,CTにて狭窄部に腫瘍を認め,小腸部分切除術を施行した.狭窄部粘膜に1型腫瘍を認め,原発性小腸癌と診断した.術後化学療法は施行せず,14か月無再発生存中である.大腸癌と小...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 53; no. 1; pp. 36 - 45 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.01.2020
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2018.0106 |
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Summary: | 症例は73歳の女性で,2010年2月に上行結腸癌が先進部の腸重積,横行結腸穿孔,汎発性腹膜炎の診断で,当科にて拡大結腸右半切除術+D2リンパ節郭清術,回腸人工肛門造設術を施行した.病理学的診断は粘液癌でpSS,pN0,ly1,v1,pPM0,pDM0,pRM0,fStage IIであった.初回手術から4年,6年後に後腹膜再発を指摘され,いずれも摘出術を施行し,播種再発と診断した.初回手術から7年半後に腸閉塞のため当科紹介となり,CTにて狭窄部に腫瘍を認め,小腸部分切除術を施行した.狭窄部粘膜に1型腫瘍を認め,原発性小腸癌と診断した.術後化学療法は施行せず,14か月無再発生存中である.大腸癌と小腸癌の重複はまれであるが,各種癌の治療成績向上に伴い多臓器癌を重複する大腸癌に遭遇する機会は増えてくると考えられる.今後は再発だけでなく重複癌も念頭に置いた治療の選択をする必要がある. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2018.0106 |