未破裂前交通動脈瘤術中に緊急A3A3バイパスが必要となった症例 予期せぬ動脈損傷への対処法に関する考察

「はじめに」術中予期せぬ瘤頚部損傷や主幹動脈損傷などのトラブルは, 脳動脈瘤クリッピング術が脳血管を扱う術式である以上, 常に発生する可能性がある. その際の対処法や準備は常に意識しておく必要があることは論を待たない8). 損傷部位の縫合やクリップでうまく対処できない場合, 血管遮断と血行再建が必要となることがある. その際, 突然時間制限が生じた中での深部縫合を行うことと, 吻合血管の未剥離などの準備不足が最大の問題となる. また, 対処法はトラブルが発生してから状況により具体的に構築していくため, 観察と決断を迅速に行わなければ, 時間を余計に費やすこととなり合併症の危険性も増加する. 今...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 38; no. 1; pp. 48 - 51
Main Authors 小野, 敦史, 中野渡, 智, 川原, 信隆, 日暮, 雅一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2010
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.38.48

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Summary:「はじめに」術中予期せぬ瘤頚部損傷や主幹動脈損傷などのトラブルは, 脳動脈瘤クリッピング術が脳血管を扱う術式である以上, 常に発生する可能性がある. その際の対処法や準備は常に意識しておく必要があることは論を待たない8). 損傷部位の縫合やクリップでうまく対処できない場合, 血管遮断と血行再建が必要となることがある. その際, 突然時間制限が生じた中での深部縫合を行うことと, 吻合血管の未剥離などの準備不足が最大の問題となる. また, 対処法はトラブルが発生してから状況により具体的に構築していくため, 観察と決断を迅速に行わなければ, 時間を余計に費やすこととなり合併症の危険性も増加する. 今回われわれは, 未破裂前交通動脈瘤(以下Acom An)症例において術中動脈損傷に遭遇し, 緊急で血行再建を施行したので, その問題点および対策に関して, 文献的考察を含め報告する. 「症例」患者:60歳, 男性. 現病歴:5年前に右視床出血にて当科入院し, 保存的治療にてmodified Rankin scale(以下mRS)grade 1まで改善.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.38.48