過塩素酸ナトリウム,塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸ナトリウムの時間分解X線光電子スペクトル

過塩素酸ナトリウム,塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウムの時間分解Cl(2p),O(1s) XPSスペクトルを最小測定時間15分で測定した.過塩素酸ナトリウムにおいては,X線照射によりCl(Ⅶ)がCl(V)を経てCl(−Ⅰ)へ還元された.塩素酸ナトリウムにおいても,同様にX線照射によりCl(Ⅴ)がCl(Ⅲ)を経てCl(−Ⅰ)へ還元された.一方,亜塩素酸ナトリウムにおいては,X線照射によりCl(Ⅲ)がCl(Ⅰ)を経てCl(−Ⅰ)へと還元されているだけでなく,2 Cl(Ⅲ) → Cl(Ⅰ) + Cl(Ⅴ)という不均化反応も起こしていることが明らかとなった.それぞれの還元反応と同時に,試料中の塩素原...

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Published inX線分析の進歩 Vol. 54; pp. 173 - 183
Main Authors 岡本, 竜弥, 藤原, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2023
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ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.54.0_173

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Summary:過塩素酸ナトリウム,塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウムの時間分解Cl(2p),O(1s) XPSスペクトルを最小測定時間15分で測定した.過塩素酸ナトリウムにおいては,X線照射によりCl(Ⅶ)がCl(V)を経てCl(−Ⅰ)へ還元された.塩素酸ナトリウムにおいても,同様にX線照射によりCl(Ⅴ)がCl(Ⅲ)を経てCl(−Ⅰ)へ還元された.一方,亜塩素酸ナトリウムにおいては,X線照射によりCl(Ⅲ)がCl(Ⅰ)を経てCl(−Ⅰ)へと還元されているだけでなく,2 Cl(Ⅲ) → Cl(Ⅰ) + Cl(Ⅴ)という不均化反応も起こしていることが明らかとなった.それぞれの還元反応と同時に,試料中の塩素原子と結合した酸素原子は,X線照射により2O(−Ⅱ) → O2という固相酸化反応が起こっており,生成した酸素分子が系外へ脱離していることがわかった.それぞれのXPSピークの面積比を用いた解析から,本研究における固相還元反応が擬一次反応であることが確認でき,過塩素酸ナトリウム,塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウムの固相酸化・還元反応についての速度論的パラメータを求めた.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.54.0_173