経皮経肝逆行性胆道ドレナージ(PTRBD)が有用であった肝切除後胆汁瘻を伴う胆管狭窄の1例

肝切除術後胆汁瘻を生じたERBD困難症例において,非拡張胆管への経皮経肝逆行性胆道ドレナージ(PTRBD)が奏功した一例を経験したので報告する.症例)71歳,男性.肝細胞癌に対して肝拡大左葉切除を施行.膿瘍形成を伴う術後胆汁瘻を認め,後区域胆管の左枝合流部の狭窄による離断型胆汁漏が診断された.ステント留置を試みたが胃全摘術後で内視鏡ルートからの挿入は困難で,胆管拡張もないためPTBDも不成功であった.膿瘍腔より右後区域胆管末梢(B6a)へカテーテルを挿入し,さらにガイドワイヤーの反対側(硬い方)を利用してガイドワイヤーを末梢胆管壁ならびに肝実質を穿通させて右横隔膜下腹腔側に誘導した.右肋間に小...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTando Vol. 32; no. 2; pp. 290 - 294
Main Authors 酒井, 久宗, 石川, 博人, 岡部, 義信, 川原, 隆一, 吉富, 宗宏, 安永, 昌史, 佐藤, 寿洋, 奥田, 康司, 北里, 雄平, 御鍵, 和弘, 赤須, 玄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.05.2018
Japan Biliary Association
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.32.290

Cover

More Information
Summary:肝切除術後胆汁瘻を生じたERBD困難症例において,非拡張胆管への経皮経肝逆行性胆道ドレナージ(PTRBD)が奏功した一例を経験したので報告する.症例)71歳,男性.肝細胞癌に対して肝拡大左葉切除を施行.膿瘍形成を伴う術後胆汁瘻を認め,後区域胆管の左枝合流部の狭窄による離断型胆汁漏が診断された.ステント留置を試みたが胃全摘術後で内視鏡ルートからの挿入は困難で,胆管拡張もないためPTBDも不成功であった.膿瘍腔より右後区域胆管末梢(B6a)へカテーテルを挿入し,さらにガイドワイヤーの反対側(硬い方)を利用してガイドワイヤーを末梢胆管壁ならびに肝実質を穿通させて右横隔膜下腹腔側に誘導した.右肋間に小切開を加えガイドワイヤーを体外に誘導し,PTBDカテーテルを胆管内へ留置した.本法は,非拡張胆管への経皮経肝ルートでの胆管ドレナージ方法(PTRBD)の変法として考慮すべき手技の工夫と考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.32.290